沼津市：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

沼津市の水道事業の経営状況は、①経常収支比率が100％を超えており（黒字を確保）、全国平均及び類似団体平均より高く、②累積欠損金比率が0％（過去の赤字分もなし）であるなど、健全経営を確保できている。これは、1㎥当たりにどの程度費用がかかるかを表す⑥給水原価で示されているように、沼津市は良質で豊富な水資源が確保できているため、水道水供給に費用がかからないこと、⑤料金回収率で示されるように平成22年９月に実施した料金改定により、水道料金で給水に係る費用を賄えているからであると分析できる。一方、⑦施設利用率に示されるように、利用率は下がり続けている。これは人口減少や節水機器の普及などにより、年々配水量が減少していることが主な要因であると考えられ、この傾向は当面続いていくと想定される。そのため、今後の人口分析などを基に各施設の水需要を的確に分析し、施設の統廃合、ダウンサイジングなど効率的な施設形態の検討もしていかなければならない。

老朽化の状況について

法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表す②管路経年化率で示されるように、沼津市の管路経年化率は全国平均、類似団体平均より高く、他市町と比較して管路更新が必要な事業が多いことが分析できる。一方、当該年度の管路更新ペースを示す③管路更新率は平成25・26年度に激減している。これは水源地、配水池を一括管理している泉水源地内にある送水管理センターの耐震化や機器の更新整備に事業費を必要としたことに伴い、管路更新をペースダウンしなければならなかったからである。送水管理センター整備は平成27年度末には完了することから、今後、管路更新に力を入れていく予定である。

全体総括

現状の経営においては、健全経営を確保できていると考えているが、近年は給水量の減少に伴い水道事業最大の財源である水道料金収益は減り続けており、将来においては厳しい経営状況になることが予想される。一方上述したとおり、水道施設の老朽化に伴う更新事業は計画的に行っていかなければならない。このような中、経営の健全化を維持し、計画的な施設更新を実現するためには、引き続き経費削減に努めるとともに、必要であれば料金改定を実施するなど自主財源の確保が必要となる。