経営の健全性・効率性について
①「経常収支比率」は、給水人口と連動して減少傾向にあるが、類似団体平均や全国平均を上回っており、収益性の高さは維持されている。③「流動比率」は、一般的に望ましいとされる200%を大きく超え、短期債務に対して十分な支払能力がある。④経営戦略の策定後に、投資計画に基づく施設の統廃合や更新に係る建設改良費の増嵩が見込まれることから、その時に備えて起債額を抑制したことにより、「企業債残高対給水収益比率」が減少した。⑤平成30年1月の寒波による漏水及び凍結防止の放水により、無効水量の増加に伴い有収率が低下したため、給水原価が増加し「料金回収率」は低下したが、100%を超えており適正な料金水準といえる。⑥寒波による無効水量の増加や減価償却費の増加により「給水原価」は上昇したものの、類似団体平均や全国平均と比較すると低い状態にある。⑦寒波による無効水量の増加により年間総配水量が増加し、一時的に「施設利用率」は上昇したが、給水人口は減少基調にあるため、今後も低位で推移するものと思われる。⑧老朽管の更新や漏水対策を計画的に行っているが、地勢的に居住区域が分散し、管路延長が長くなるなど漏水が発見しにくい状況にあるため、低位で推移している。また、寒波による無効水量が増加したため「有収率」は低下した。
老朽化の状況について
①「有形固定資産減価償却率」は、類似団体平均と同様に横ばいで推移しており、施設や管路の更新がなかなか進まない状況にある。②「管路経年化率」は、年々上昇してきており、管路延長のうち、法定耐用年数を超えたものが全体の21%を超え、類似団体平均や全国平均よりも割合が高い。③「管路更新率」は、昭和45年までの内面未防食の鋳鉄管を中心に更新を進めているが、徐々に口径の大きい管路にシフトしてきているため、更新延長が伸びにくくなっており、法定耐用年数での更新周期に追いつくには程遠い状況にある。なお、平成29年度の更新率が低いのは、更新管よりも開発に伴う新設管の割合が高くなったためである。
全体総括
給水人口の減少や節水型機器の普及に伴い、給水収益が年々減少しているなか、経費の一層の削減や、事業実施年度の平準化などにより、今後とも健全経営を堅持していく。なお、施設や管路の更新に当たっては、将来の水需要の予測をしっかりと立てたうえで、優先順位や効率性を考慮して計画的に行うとともに、統廃合やダウンサイジングにより、適正な規模で整備していく。