経営の健全性・効率性について
経営の健全性を示す「経常収支比率」は、上昇傾向かつ毎期100%を超過しており、全体としての収益性は高いと言える。「料金回収率」は、概ね100%に近い水準であり大きな問題はないものの、全国平均及び類似団体平均値を下回っている。今後の更新投資費用を賄う観点からは、料金水準見直しについて検討の余地がある。財務の安全性を示す「流動比率」は、100%を上回り全国平均及び類似団体平均値を大きく上回っていることから、短期的な支払能力に問題はない。「企業債残高対給水収益比率」は、低下傾向にあり、債務の負担割合は改善している。ただし、全国平均及び類似団体と比較して債務負担は重い状況にあると言える。有収水量1㎥あたりどれだけの費用がかかっているかを示す「給水原価」は、若干類似団体平均より高いが、「有収率」は高く、施設の稼働が効率的に収益に反映されている。費用面の削減を図れば更に収益性が増すと言える。「施設利用率」は、類似団体平均よりも高く、施設の利用状況や規模は適切と言える。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は、類似団体平均を下回るものの上昇傾向にあり、今後も施設老朽化が進むことが予想される。「管路更新率」は、年によってばらつきがあるものの、概ね類似団体と同水準と言える。
全体総括
経常収支比率を代表とする事業全体の経営の健全性は、現段階では良好といえる。給水原価の削減、若しくは料金水準の見直しによる料金回収率の上昇が今後の課題である。財務の安全性については、比較的良好であるものの、他団体より企業債の債務負担が大きいため、今後の債務規模について留意が必要である。施設の効率性や活用度、老朽化度合いは、全国平均よりも良好な状況であるが、減価償却累計率は上昇しており、今後施設の老朽化は確実に進行することには注意が必要である。