経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び料金回収率は、平成26年度に比率が一気に上昇し改善した。しかしこれは会計基準の改正により収益(長期前受金戻入)が増加したためである。なお、料金回収率については、当市における長期前受金戻入の実情(受贈財産や工事寄付金等再現性のない項目が大半を占める)を踏まえ、確実な更新財源を確保する観点から、別途当市独自の料金回収率を算出し事業運営の指標としている。この指標値は96.98%(平成26年度)と100%を下回り、平成24年度から3年連続で給水収益では、給水事業が賄われていない赤字の状況となっている。なお、類似団体平均、全国平均と比較してほぼ平均値を維持している。今後、人口や水量の減少、施設等の経年、老朽に伴い将来の財源確保が必要となる。更なる費用削減をすすめるとともに健全経営を継続するためには、水道料金適正化を検討する必要性がある。給水原価は会計基準の改正により20ポイント弱下がったが平均値よりも高い。当市の総費用の4割を占める受水費は用水供給事業者と契約を行うため費用の圧縮が困難である。また、平成31年度完成予定の八ッ場ダムは、受水費が費用割合を更に占めることが予想される。健全経営を継続するためには、官民連携、広域連携の可能性について幅広く検討をする必要性もある。
老朽化の状況について
佐倉市の水道管は最も古いもので昭和39年度に布設している。管路経年化率は類似団体及び全国平均と比較して低い水準を維持しているが、今後管路経年化率が上昇する傾向である。当市は昭和54年度に布設した水道管が最も多く平成31年度に耐用年数の40年をむかえる。今後15年間で法定耐用年数(40年)をむかえる水道管は約5割となり水道管の更新需要は一気に増加する傾向にある。今後は、平成28年度から平成68年度までを計画期間とする佐倉市水道施設耐震化計画により水道管の耐震化を進める。
全体総括
今後は、人口減少に伴う料金収入の減少や、施設、水道管の老朽化に伴う更新投資の増大により、経営環境はますます厳しい状況をむかえるのは確実である。より一層の経営基盤の強化が必要である。現在策定中の佐倉市上下水道ビジョンは、長期的に取り組むべき経営課題に対して、目指す将来像を設定している。この将来像を実現するための各種取組等を整理している。健全で持続的な事業運営のためには、限られた経営資源を最大限に活用するための経営基盤づくりが必要である。公正で持続可能な水道料金の確保、これまで以上に効率的な事業運営、主要資産である水道施設の管理の適正化を図り、人口減少社会においても健全で持続的な経営基盤を構築する必要がある。