経営の健全性・効率性について
①経常収支比率や⑤料金回収率をみると,概ね必要となる費用について給水収益で賄うことができています。しかし,収入全体の90%以上を占める給水収益は,人口の減少や節水型のライフスタイルの定着などにより,年々減少していくことが予想されます。一方で,本市水道事業の基幹施設である上坪浄水場の全面更新を行うことにより,今後,減価償却費などの経常費用が大きく増加する見込みです。このような状況を踏まえ,平成27年10月に水道料金を改定しました。③流動比率をみると,平成26年度は,前年度に比べて数値が大きく減少しましたが,会計制度の見直しにより,1年以内に償還する企業債の元金を流動負債に計上したことによるものであるため,支払い能力に問題があるわけではありません。今後は,料金改定により手持ち資金が増加することから,数値は上昇し,支払い能力にも問題はありません。④企業債残高対給水収益比率をみると,平成26年度は企業債残高が給水収益の約5.5倍となっており,類似団体平均値より高くなっています。これは,平成9年以降料金改定を行わずに事業を運営してきたことによるものです。上坪浄水場更新事業を実施すると,更に数値が上昇しますが,これに見合う料金改定を行いましたので,経営への影響はありません。⑧有収率については,東日本大震災の影響により大幅に低下したあと,年々回復傾向にあります。有収率を100%に近づけるためには,漏水箇所の調査や老朽管の更新などが必要となっています。
老朽化の状況について
浄水施設や配水施設については,湊系の配水場の統廃合が平成26年度までに完了し,現在,基幹施設である上坪浄水場の更新事業に取り組んでいます。配水管については,②管路経年化率は類似団体平均値である13.57%を下回っていますが,昭和50年代の事業拡張期に布設した配水管(VP管)が法定耐用年数である40年を迎えようとしていることから,今後,数値の上昇が見込まれます。また,浄水・配水施設の耐震化事業を優先していることから,③管路更新率が平成26年度は0.54%にとどまっており,この更新率のままでは,すべての管を更新するのに180年以上かかるという計算になります。このため,配水管布設替のさらなるスピードアップが必要な状況となっています
全体総括
現状の経営状況は概ね良好な状態ですが,類似団体と比較して,企業債残高が多く,料金回収率や有収率が低い状況となっています。また,他の事業体と同様,水需要の減少により,給水収益が年々減少するものと予想しています。また,施設については,湊系の配水施設の統廃合が完了し,現在,上坪浄水場の更新に取り組んでいます。このような状況から,平成27年10月に水道料金を改定し,更なる経営の健全化を図りました。今後,法定耐用年数を迎える配水管が増加することから,引き続き,計画的な施設更新を行うとともに,経営の効率化に務めていく必要があります。