経営の健全性・効率性について
令和2年度は水道料金の改定を行い、給水収益が大きく増加しました。一方で、管路の修繕に係る費用が大きく減少しました。給水収益の増加に伴い、経常収益が増加する一方で、経常費用が減少したため、①の経常収支比率が大きく改善し、類似団体を上回るようになりました。また、経常費用の減少は、⑥の給水原価を引き下げる要因にもなっています。給水収益の増加により供給単価が増加する一方、前述のように給水原価が減少したことから、⑤の料金回収率も大きく改善しています。しかしながら、③流動比率については、前年度数値より約17ポイント改善したものの、類似団体より約169ポイント低くなっており、十分な資金が確保できていない状況となっています。また、④企業債残高対給水収益比率についても、類似団体より約114ポイント上回り約408%となっています。これは、料金収入の4年分の借金があり、企業債に依存した経営体質であることを意味します。こうした状況を改善するための方法として、水道料金収入を増加させれば、資金を増やし企業債残高を減らすことは可能です。しかし、令和2年度に料金改定を行ったばかりであるため、まずは適切に現状分析を行いながら、財務状況を改善するため一層の費用削減に取り組んでまいります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び②管路経年化率は,数値が高いほど資産や管路の老朽化が進んでいることを示す指標であり,類似団体平均値を下回っているものの,年々老朽化が進んでおります。③管路更新率は,管路の更新ペースを示す指標であり,類似団体平均値を下回っております。現在,本市の進める管路更新が,アセットマネジメントで重要度・優先度が高いとされた,中心市街地に布設されている管路や事故影響度の大きい大口径管路を優先して実施しているため,更新率が伸び悩んでいます。今後の施設及び管路の更新は,法定耐用年数を基準とするのではなく,それぞれの老朽度やアセットマネジメントで設定した重要度・優先度を考慮した更新基準に基づき,長寿命化及び事業の平準化を図りながら,財源の確保に努め,計画的に実施してまいります。
全体総括
現在は,企業債残高対給水収益比率が類似団体と比べ高い値となっているものの,経常収支比率は100%を超え,累積欠損金もないことからおおむね健全な経営が行われています。しかし,給水量は年々減少傾向にあり,今後高まる更新需要においても安定した経営を持続していくために,令和2年度には料金改定を実施しました。一方で計画的な企業債の借入れにより料金改定による急激な市民生活への影響を抑え世代間の公平性を図るとともに,中長期的に企業債残高の低減を図ってまいります。また,アセットマネジメントを活用し実態に即した更新を計画的に実施するとともに,より一層の経営基盤強化に努めてまいります。