経営の健全性・効率性について
①経常収支比率が100%を超え,②累積欠損金もないことから,おおむね健全な経営が行われているといえます。しかしながら,③流動比率については,前年度数値より約14ポイント改善したものの,類似団体より,約178ポイント低くなっています。また,④企業債残高対給水収益については,類似団体より,約154ポイント上回った,約449%となっています。これは,料金収入の4.5年分の借金があり,企業債に依存した経営体質であることを意味します。企業債残高の縮減を図るため,平成26年度から,企業債借入額を企業債償還額の90%とし,財政の健全化に努めています。資金を増やし,企業債残高を減らすため,水道料金収入を増やすことも考えられますが,⑤の料金回収率や⑥の給水原価は類似団体と同程度で,平成29年度の更新事業においては概ね適正といえます。今後も現状分析を行い,適正な料金水準を維持するように努めます。合わせて,財務状況を改善するため,一層の費用削減に取り組む必要があります。また,⑧の有収率は,類似団体に比べ約2%低い数値となっています。有収率を向上させ,水道施設から給水される水量が収益に結びつくよう,年次計画による漏水調査や,漏水の原因となりやすい鉛製給水管の解消を推進していきます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び②管路経年化率は,数値が高いほど資産や管路の老朽化が進んでいることを示す指標であり,類似団体平均値を下回っているものの,年々老朽化が進んでおります。③管路更新率は,管路の更新ペースを示す指標であり,類似団体平均値を下回っております。現在,本市の進める管路更新が,アセットマネジメントで重要度・優先度が高いとされた,中心市街地に布設されている管路や事故影響度の大きい大口径管路を優先して実施しているため,更新率が伸び悩んでいます。今後の施設及び管路の更新は,法定耐用年数を基準とするのではなく,それぞれの老朽度やアセットマネジメントで設定した重要度・優先度を考慮した更新基準に基づき,長寿命化及び事業の平準化を図りながら,財源の確保に努め,計画的に実施していきます。
全体総括
平成26年度に会計制度の大きな見直しにより,全国的に数値が見直された指標があります。また,同年に本市においても料金改定を実施したことにより,おおむね財政の健全化が図られています。市民への安定供給をより向上させるべく老朽施設更新事業,耐震化事業についても,財政状況を加味し,推進しているところです。今後高まる更新需要においても安定した経営を持続していくため,アセットマネジメントを活用し実態に即した更新を計画的に実施するとともに,2019年度末までに経営戦略を策定し,より一層の経営基盤強化に努めてまいります。