経営の健全性・効率性について
①経常収支比率が100%を超え,②累積欠損金もないことから,おおむね健全な経営が行われているといえます。ただし,③流動比率については,前年度数値より約16ポイント改善したものの,類似団体より約190ポイント低くなっていることから,計画的に資金を確保して支払い能力を高めていく必要があります。④によると,企業債の残高が,年間の給水収益の約445%となっていて,料金収入の4.5年分の借金があることになります。この比率は,類似団体より約148ポイント上回ってしまっていることから,新規の企業債の借入れを縮減するよう努めています。資金を増やし,企業債残高を減らすため,水道料金を引き上げ収入を増やすことが考えられますが,⑤の料金回収率や⑥の給水原価は類似団体と同程度で,現行の料金水準は概ね適正と言えることから,今後も適宜現状分析を行い,適正な料金水準を維持するように努めます。合わせて,財務状況を改善するため,一層の費用削減に取り組む必要があります。また,⑧の有収率は,類似団体に比べ約2ポイント低い数値となってしまっています。有収率を向上させ,水道施設から給水される水量が収益に結びつくよう,年次計画による漏水調査や,漏水の原因となりやすい鉛製給水管の解消を推進していきます。
老朽化の状況について
本市水道事業の創設は昭和7年と早かったため,有形固定資産は年々老朽化しております。現在は,平成24年9月に策定したアセットマネジメントに基づき,独自に設定した重要度や優先度を考慮した更新を進めております。②管路経年化率は類似団体平均値を下回っており相対的に老朽度は低いと言えますが,第4期拡張事業以降に布設した配水管が法定耐用年数(40年)を迎えようとしていることから,今後,数値の上昇が見込まれております。③管路更新率は類似団体平均値を下回っておりますが,現在の管路更新率が,アセットマネジメントで重要度・優先度が高いとされた,液状化地域に布設されている管路や事故影響度の大きい大口径管路を優先して進めているため,ほぼ横ばいの状況となっております。
全体総括
会計制度の改正による影響を踏まえても,平成26年度の料金改定により,概ね財政の健全化が図れております。また,市民への安定給水をより向上させるべく耐震化事業,老朽施設更新事業についても,財政状況を加味し,着実に推進しているところです。一方で,今後も老朽化した施設の更新や耐震化に多額の事業費が見込まれることに加え,特に,耐震化事業については,前倒しで進める必要があることから,事業運営に当たっては,管路の長寿命化や更新距離の平準化を図りながら,計画的な更新を実施するとともに,経営戦略の策定等を通じ,より一層の経営基盤強化と財政マネジメントの向上に努めていきます。