経営の健全性・効率性について
③の流動比率は,類似団体より200%程度低く100%を下回っていることから,1年以内に現金化できる資産で,1年以内に支払わなければならない負債を賄えておらず,資金を計画的に確保するとともに支払能力を高める必要があります。④によると企業債残高の年間給水収益に対する比率は450%程度となっており,類似団体を150%程度上回ってしまっていることから,財務状況に課題があるといえます。この状況を改善する方法の1つである,料金を引き上げ給水収益を増やすことについては,①の経常収支比率・②の累積欠損金比率・⑤の料金回収率・⑥の給水原価が類似団体と同程度であり,現行の料金水準は概ね適正と言えることから,今後も,人口減少,水需要の伸び悩みが想定されるなか,適宜検証を行い,適正な料金水準の最適化に努めていきます。そのほか,企業債残高の縮減にも努めております。⑦の施設の利用状況や適正規模を判断する比率は,類似団体より6%程度下回っておりますが,今後の施設更新計画の見直しに合わせ社会経済情勢の変化に応じた適正な施設規模を検討していきます。⑧の有収率は,類似団体に比べ約2%低い数値となってしまっており,有収率向上のため,年次計画による漏水調査や,漏水の原因となりやすい鉛製給水管の解消を推進しています。
老朽化の状況について
水戸市は事業開始が昭和7年と早かったため,多くの老朽管が存在しており,現在,水道事業におけるアセットマネジメントを策定し,40年間という長期的な期間で,老朽施設の更新計画を立て,更新事業を進めております。この計画では,将来に亘る収支のバランスを考慮した事業費の中で,重要度の高い施設を優先的に更新を進め,40年後においても施設・経営共に,健全な状態を保てることを示しています。有形固定資産減価償却率,管路経年化率については,類似団体より良い数値でありますが,管路更新率については,類似団体を大きく下回っており,将来的な財政状況を踏まえ,効率的な更新事業を行っていく必要があります。
全体総括
平成26年度は会計制度の大きな見直しにより,全国的に数値が見直された指標があり,さらに水戸市においては料金改定を実施したことによる効果も表れております。上記の分析も踏まえ,当面の間は適正な料金水準を検証しながら以下の項目について重点的に取り組んでまります。・口径500mm以上の管路の耐震適合率を100%にする。・口径300mm以上の管路の耐震適合率を50%にする。・石綿セメント管を解消(残存延長0m)にする。・企業債の借入額を返済額の90%にする。・災害や事故に即時対応するための資金を,平成30年度末までに約8億円確保する。