経営の健全性・効率性について
【健全性】企業の損益の状況を示す①経常収支比率は、H27においては施設の処分により一時的に数値が低くなっていますが、H29においては、他団体平均と同程度の数値を確保できています。しかし、H28と比較してH29が改善しているのは、大規模工事が不調により未実施となったことが主な要因であるため、収支が改善しているとは考えにくい状況です。また、債務残高は新規借入額の抑制に努めた結果、④企業債残高対給水収益比率が示すとおり、他団体平均を下回る205.36%(年間給水収益の約2.1倍)まで縮減させ、これらの数値が示す通り、一定の健全性は確保されていると判断しています。なお、短期支払能力を示す③の流動比率は他団体平均を下回っていますが、繰越財源を最大限活用しながら事業に取り組んでいることから、他団体と比較して低い結果となっています。【効率性】配水量のほぼ全量をダムからの受水に依存しており、⑥の給水原価は、他団体と比較して高くなっています。東日本大震災以降、順調に伸びていた⑧有収率が低下しましたので、今後の推移を見守りながら、効果的な漏水調査や、適切な更新を実施し、効率を上げる必要があります。
老朽化の状況について
②の管路経年化率が示すとおり、法定耐用年数を超過している管路が増えてきており、現在の管路更新率では今後さらに増加して、将来は管布設後100年を超過する管路が出てくるなど、健全性を維持できない状況になると予想されます。このため、管路更新については、管路資産全体を見通した中で、H32までに更新率を1%まで引き上げる計画となっており、100年を超過する管路が存在しないこと及び経年化率を40~60%程度で推移させることを将来像として管路更新を行っていく予定です。なお、③の管路更新率が平均より低くなっているのは、現在、市内中心部の更新が主となっており、管路更新に費用と時間を要することから、更新延長が伸びないためです。
全体総括
現在は一定の健全性を確保できていると判断していますが、自己水源からダム受水への水源の大きな転換により、多くの施設がH19以降、遊休資産となっており、その処分が大きな課題となっています。長期的な健全性を維持するために、総務省の「経営戦略」策定の考え方に基づき、H27にアセットマネジメントの手法による投資計画及び10ヵ年の収支計画を作成し、管路の更新率年1%達成(H34)を目標にした計画に基づき事業を推進しています。なお、今後更新事業の本格化により、計画的な借り入れを行っても、企業債残高対給水収益比率は現在の他団体平均以内となり、H37までは一定の健全性を確保できる見通しですが、今後も経営状況の把握をし、H38年以降も経営が維持できるよう、取り組みを行います。