経営の健全性・効率性について
【健全性】企業の損益の状況を示す①経常収支比率はH23の東日本大震災発生時に、101.4%まで落ち込んだものの、その後の給水収益回復と経費縮減の取り組みにより、他団体平均と同程度の数値まで回復してきました。H27においては大規模廃止施設の撤去工事に伴い、前年度及び平均値を大きく下回りましたが、この落ち込みはH27のみの一時的な動きとなります。②累積欠損金比率は0.00%となっており、直近5年間においても累積欠損金は発生しておりません。また、債務残高は新規借入額の抑制に努めた結果、④企業債残高対給水収益比率が示す通り、他団体平均を下回る224.08%まで縮減され、これらの数値が示すとおり一定の健全性は確保されていると判断しております。なお、短期支払能力を示す③流動比率は他団体平均を下回っておりますが、これは本市が料金水準を抑制するため、財源を最大限活用しながら事業に取り組んでいるため、他団体と比較して繰越財源が比較的少ないことによるものです。【効率性】配水量のほぼ全量をダムからの受水に依存していることもあり、⑥給水原価が示す通り、他団体と比較して料金水準は高くなっております。これまで、業務民間委託の推進や、職員定員適正化など給水原価の抑制に努めたことにより、H22では100%を下回っていた⑤料金回収率は他団体を上回る水準まで上昇しました。H27においては前述のとおり大規模施設の撤去工事の影響により、100%を下回る数値となりましたが、H27のみの一時的なものと判断しております。今後は効果的な漏水調査や、施設の長寿命化、適切な更新を実施し、⑧有収率の向上に努め、更なる効率化を図る必要があります。
老朽化の状況について
②管路経年化率が示すとおり、現状の法定耐用年数を超過している管路は21.33%となっており、現在の③管路更新率0.29%では、今後、管路経年化率は更に上昇して、将来的には布設後100年を超過する管路が発生するなど、健全性を維持できない状況が予測されます。このため、管路更新率をH34までに段階的に年1%まで引き上げる計画を策定しており、布設後100年を超過する管路が存在しないこと及び管路経年化率を40~60%程度で推移させることを将来像として管路の更新を行っていく予定です。また、管路更新率が他団体平均値と比較し著しく低くなっているは、復興事業や除染作業などの影響と思われる管路更新工事の入札不調が主な要因です。今後は債務負担行為を活用した施工時期の平準化など、有効な対策を検討し入札不調発生を抑制する必要があります。
全体総括
現在は一定の健全性を確保できていると判断しておりますが、ダムからの受水による水系の切り替えにより、多くの既存施設がH19以降遊休資産となり、その処分について大きな課題となっています。長期的な健全性を維持するために、総務省の「経営戦略」策定の考え方に基づき、H27にアセットマネジメントの手法による投資計画及び10ヵ年の収支計画を作成し、管路の更新率年1%達成(H34)を目標にした計画に基づき事業を推進しております。なお、今後更新事業の本格化により一定の借り入れを行っても、企業債残高対給水収益比率は現在の他団体平均約300%以内となり、向こう10ヵ年は一定の健全性を確保できる見通しですが、今後も経年比較及び他団体との比較による分析を継続し、健全経営を基調に取り組んでまいります。