経営の健全性・効率性について
【健全性】企業の損益の状況を示す①経常収支比率はH23の東日本大震災発生時に、101.4%まで落ち込んだものの、その後の給水収益回復と経費縮減の取り組みにより、他団体平均と同程度の数値を確保できており、②の累積欠損金比率も0.00%のとおり、直近5年間は累積欠損金も発生させておりません。また、債務残高は新規借入額の抑制に努めた結果、④企業債残高対給水収益比率が示すとおり、他団体平均を下回る238.58%(年間給水収益の約2.4倍)まで縮減させ、これら数値が示す通り、一定の健全性は確保されていると判断しております。なお、短期支払能力を示す③の流動比率は他団体平均を下回っておりますが、これは本市が料金水準を抑制するため、財源を最大限活用しながら事業に取り組んでいるため、他団体と比較して繰越財源や修繕引当金が比較的少ないことによるものです。【効率性】配水量のほぼ全量をダムからの受水に依存していることもあり、⑥の給水原価グラフが示す通り、他団体と比較して料金水準は高くなっております。これまで、業務民間委託の推進や、職員定員適正化など給水原価の抑制に努めたことにより、H22では100%を下回っていた⑤料金回収率は、他団体を上回る水準まで上昇してきました。今後は効果的な漏水調査や、施設の延命化、適切な更新を実施し、⑧有収率の向上に努め、更なる効率化を図る必要があります。
老朽化の状況について
②の管路経年化率が示すとおり、法定耐用年数を超過している管路が20.52%となっており、現在の管路更新率では今後さらに増加して、将来は100年を超過する管路が出てくるなど、健全性を維持できない状況になると予想されます。このため、管路更新については、管路資産全体を見通した中で、今後段階的に1%まで引き上げる計画を策定しており、100年超過する管路が存在しないこと及び経年化率を40%程度で抑えることを目標として実施していく予定です。なお、③の管路更新率が著しく低くなっているのは、現在市内中心部の管路更新に費用を要する地区の更新が主となっていることから、布設替延長が伸びず数値が低くなっております。
全体総括
現在は一定の健全性を確保できていると判断しておりますが、創設90年を経過した本市水道施設の老朽化は他団体を上回っております。健全性を維持するために、必要な更新投資を先送りしては、将来に多大な負担を先送りすることとなるため、総務省の【経営戦略】策定の考え方に基づき、H27にアセットマネジメントの手法による投資計画及び10ヵ年の収支計画を作成し、管路の更新率1%達成(H34)を目標にした事業計画を策定し、H28から取り組むこととしております。なお、今後更新事業の本格化により一定の借入を行っても、④の企業債残高対給水収益比率は現在の他団体平均約300%以内となり、向こう10ヵ年は一定の健全性を確保できる見通しですが、今後も経年比較及び他団体との比較による分析を継続し、健全経営を基調に取り組んで参ります。