経営の健全性・効率性について
経常収支比率と料金回収率がともに100%以上となっていることから、収益の柱である給水収益によって費用を賄うことができており、全国平均や類似団体と比べても健全な水準と言える。累積欠損金は発生しておらず、流動比率についても100%を上回っているが、類似団体と比較して低い値である。節水機器の普及等により、給水収益の増加は見込めないものと考えられるため、より一層の経営効率化を図る必要がある。企業債残高対給水収益比率は、全国平均や類似団体平均値より高い水準で推移している。管路更新や浄水施設更新の際には多額の資金が必要となるが、企業債残高が大きく膨らまないよう適正化に努めるとともに借入額の抑制を行っていく必要がある。給水原価は全国平均や類似団体平均と比べて高い水準で推移しており、施設利用率は給水量の減少により低下していることから、今後の水需要の動向を考慮のうえ、施設規模について検討を進めていく必要がある。配水管や宅地内給水管の漏水調査による修繕工事を継続して行っているため、有収率は経年比較で上昇している。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は年々増加し、施設の老朽化が進行している状況にある。主要な浄水施設である見崎浄水場の法定耐用年数がせまってきており、更新の時期や内容について整理を進める必要がある。管路経年化率は平成27年度において大きく数値が上昇したが、類似団体平均値並みとなっている。管路更新率は類似団体平均値より若干高い値となっている。管路の更新については、山形市上下水道事業基本計画において、耐震化の目標値を37.3%(平成34年度)に設定し、平成29年度の中間目標30.3%に向けて更新を進めている。平成27年度末では耐震化率28.0%であり、概ね順調に更新事業を進めている。
全体総括
経営の健全性・効率性の分析から、類似団体と比較して現段階では比較的良好な状況と言える。しかし、水需要の減少に伴い水道料金収入が減少する中で、浄配水施設の更新等に多額の資金が必要となることや、他団体より企業債残高が大きく、残高の縮減が必要であるため、今後は厳しい経営状況になることが考えられる。このような状況において、より一層の経営の効率化による財源の確保に努め、水需要に合った施設規模の適正化を図りながら、施設の更新を進めていくことが課題となってくる。このため、山形市上下水道事業基本計画の中間年次である平成29年度において、これらの課題の解決を見据えた事業計画の見直しに取り組んでいく必要がある。