経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び料金回収率は、概ね類似団体平均値を上回っているとともに、100%を超える水準で推移している。給水収益が漸減する一方、企業団からの受水費や企業債利息の減少により、横ばいで推移しており、収入に見合った企業活動が実施されているといえる。有収率が減少してきているのは、日常的に監視を行っている配水量や水圧の変化で確認できない小規模な漏水の増加によるものである。しかし、類似団体平均値を上回っているとともに、90%を超える水準で推移している。管路などの計画的な更新により、水道供給が適切に実施されている状況である。漏水などが少なく、効率的な水道供給が行われていることが、料金回収率に示される給水コストの料金による回収、ひいては経常収支比率に示されているとおり、収益性の確保ができていると考えられる。一方、安全でおいしい水の安定供給に向けた2水源化などの取り組みにより、類似団体平均値と比較して、給水原価は高く、施設利用率は低い値で推移している。なお、流動比率が、平成26年度に大幅に減少しているのは、会計基準を見直したことによるものである。
老朽化の状況について
管路の更新や施設の耐震化工事など、計画的に更新投資を行ってきているため、企業債残高対給水収益比率は、一定水準で推移しているとともに、有形固定資産減価償却率や管路経年化率は、類似団体平均値を下回っており、施設の老朽化は抑制され、有収率などの収益性への寄与も認められる。管路更新率が、平成26年度に大幅に増加しているのは、平成25年度に施設の安全対策、安定化に向け、長期財政収支計画を見直し、更新投資の前倒しを行ったことによるものである。なお、今後さらに増加する経年管の効率的な更新を遂行するため、事業量の平準化及び中長期的な財政状況を考慮した「水道インフラ基本計画」を策定し、老朽化対策を行っていく。
全体総括
効率的な水道供給などにより収益性は確保されているとともに、施設の老朽化も抑制され、健全な経営が行われているといえる。しかし、人口が減少し使用量が減少する一方、施設の更新が必要になるなど、今後の経営は厳しさを増すことが予想される。今後も生活に不可欠な水道サービスを提供し続けるため、中長期的な視点に立った健全な企業経営を行っていく。