北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

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地方財政ダッシュボード

大阪府交野市の財政状況(2017年度)

🏠交野市

地方公営企業の一覧

末端給水事業 公共下水道


収録データの年度

📅2023年度📅2022年度📅2021年度📅2020年度📅2019年度📅2018年度📅2017年度📅2016年度📅2015年度📅2014年度📅2013年度📅2012年度📅2011年度📅2010年度

総括表

人口の推移

財政比較分析表(2017年度)

財政力指数の分析欄

本市には主要な産業・大型事業所等がなく、市税に占める法人税の割合が低くなっている。そのため、景気の回復等における法人税収入の増加等も少なく、また、個人税収入についても、ふるさと納税による寄附金控除などにより大幅な上昇とはなっていない。一方で、歳出額は増加しているため、結果として、財政力指数は近年と同水準の0.71となっており、財政基盤がぜい弱である状態が続いている。今後は、平成27年度末に策定し、現在第2期版を作成している市長戦略をもとに、税や保険料等の徴収体制の強化など歳入の確保に努め、併せて、民間活力の導入や補助事業の標準化など、歳出削減を進め、財政基盤の強化に努める。

経常収支比率の分析欄

第二次健全化計画等に基づき、人件費等の削減を進めたことにより、90%台で推移しているが、社会保障関係費用の増加により、数値の大幅な改善は見られない。平成29年度については、平成の初頭に行った都市基盤の整備に伴い発行した大型の市債についての償還が終了してきたことで、公債費が減少したことなどにより、平成28年度から2.2ポイントの改善となっている。今後も将来の公債費推移を見据え、計画的な市債発行に努めるとともに、民間活力の導入や補助事業の標準化を行い、経常経費の削減を進める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

第二次健全化計画に基づき、人件費等の削減や、経常的な需用費等の削減を進めたことにより、類似団体内平均値を下回る数値で推移してきたが、近年は民間給与の引上げによる人事院勧告の影響や、権限移譲に対応するための職員の増員など、人件費関係の上昇の影響が大きく、この5年間で人口1人当たり9,000円以上の上昇となっており、類似団体内平均値との差が小さくなってきている。今後も計画的な職員採用や臨時・非常勤職員の適正配置、市長戦略に基づく民間活力の導入等により、人件費等の抑制に努めるとともに、物品の一括調達や業務委託の一括発注などコストを意識した契約手続きを行うことにより、物件費等の抑制に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

第二次財政健全化計画に基づき、給料の2%カットを実施してきたが、平成26年度末での計画期間終了に伴い給料カットが終了となったため、平成27年度には数値が2ポイント近く上昇し、以降その水準で推移している。平成29年度は全国市平均を0.1ポイント下回る結果となったが、類似団体内平均値からは0.3ポイント上回る結果となっている。今後も民間給与水準の上昇などによる給与改定が見込まれるため、適切な給与制度を運用し、全国的な水準を上回らない数値となるように努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

第二次財政健全化計画に基づき、これまで職員数の適正化を図ってきた結果、人口千人当たり職員数は6.08人と、比較的低い水準となっている。この中には他市町村では一部事務組合化されていることが多い消防組織や直営で行っている給食調理、ごみ収集業務などの職員も含まれているため、一般行政職員で考えると、他市町村と比べてさらに低い水準であると言える。ただし、権限移譲や新たな行政ニーズの発生など、近年は職員総数が増加傾向にあるため、今後は、市長戦略に基づき、前述した直営業務についての分析を進め、民間活力の導入や効率化、施設の民営化などの検討を行い、最小限の職員数増となるように努める。

実質公債費比率の分析欄

過去に都市基盤を整備するために発行した市債の公債費が多額になっており、類似団体内平均値、全国平均及び大阪府平均をそれぞれ上回る数値となっているが、ここ数年は過去に発行した大型事業に関する市債についての償還終了時期にあたり、数値が改善傾向にある。平成29年度についても総合体育施設の市債償還が一部終了したことなどから、1.2ポイントの改善となった。しかしながら、今後、施設の新設・更新による新たな起債や、土地開発公社保有地の買戻しのための起債等、数値の高止まりが続くことが予想されるため、できる限り新規の市債発行を抑制し、また、有利な条件で発行できるように利率の入札等を活用しながら、実質公債費比率の低減に努める。

将来負担比率の分析欄

過去に、土地開発公社による用地の先行取得が市の財政規模に見合わない規模で行われた結果、非常に多額の負債を抱えた状態が続いており、将来負担比率は全国的に見ても非常に高い数値となっている。現在は市長戦略に基づき、公社保有地の計画的な買戻しを行っており、公社保有地簿価については、ピーク時の約370億円から4分1以下の約90億円に、また、将来負担比率もピーク時の333.6%から3分の1程度の数値になっており、大幅に改善しているものの、依然として高い数値であることに変わりはない。負債総額の削減は本市の懸案事項であり、今後も計画的な買戻しを進めるとともに、市と公社が連携しながら借入利率の低減等、簿価の上昇を抑えることにも努めていく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2017年度)

人件費の分析欄

第二次健全化計画に基づき、これまで経常経費全体を大きく削減してきたが、その中で、消防、給食調理及びごみ収集等を直営で行っている本市では、職員数の削減により人件費総額は下がったものの、経常経費に対する割合としては一定の削減にとどまったため、相対的に他市よりも人件費の割合が高くなっている。平成29年度についてもその傾向は変わらず、30%を上回る水準が続いている。今後、市長戦略に基づき業務の分析を進め、民間活力の導入や、適正な人員配置を行い、効率的な行政運営を進めることで、人件費の抑制に努める。

物件費の分析欄

類似団体内平均値及び全国平均をそれぞれ下回る結果となっている。要因としては、指定管理者制度の導入による民間活力を用いた施設運営や、入札による物品の一括調達などにより、これまでの健全化施策の中で、物件費に関する経費の削減を行ったことによるものである。また、人件費の分析欄と同様に、給食調理やごみ収集等を直営で行ってるため、他市に比べて民間委託等の経費が少ないことも、物件費の割合が低い原因の一つと考えられる。ただし、近年は行政ニーズに対応する委託業務や、各種の制度改正に対応するシステム改修対応費用等、物件費の上昇傾向が続いているため、今後も費用の精査等経費の抑制、事務の改善に努める。

扶助費の分析欄

財政健全化への取り組みにより経常経費全体の削減を行う中で、扶助費については、障がい者自立支援給付費の伸びや、保育単価の上昇に伴う私立保育施設等への保育関係給付の増加など、社会情勢、地域環境による影響が大きいため、総額の削減が難しく、全国的にも上昇傾向にある中、類似団体内平均値及び全国平均をそれぞれ上回り続ける結果となっている。一方で、大阪府平均を下回っているものの、扶助費の増加は続くと予想されるため、事業の適正化や、対象者の自立に関する支援などを進め、扶助費の増加を抑制する取組みを進める。

その他の分析欄

平成29年度の数値は、前年度から0.6ポイントの上昇となっており、類似団体内平均値は下回っているが、全国平均及び大阪府平均をそれぞれ上回る結果となっている。この要因としては、高齢化の影響から、介護保険特別会計や後期高齢者医療関係の繰出金の伸びが大きいことが挙げられる。平成30年度からは国民健康保険の制度が広域化されることから、この影響を見極めるとともに、特別会計の収支についても健全な状態を維持するように努め、適正な支出と、特別会計事業の事業改善への取り組みを進める。

補助費等の分析欄

類似団体内平均値、全国平均及び大阪府平均をそれぞれ大幅に下回っている。この要因としては、補助金制度の見直しを行い、明確な基準を設け、不適当な補助金の廃止、見直しを行ってきたためである。また、人件費の分析欄と同様に、他市では消防業務等を一部事務組合で行っていることが多く、そのような一部事務組合への負担金が本市では少ないことも、数値が低い要因の一つと考えられる。今後は、一部事務組合のごみ処理施設整備に関して、地方債の償還のための負担金が増加することが見込まれている。なお、補助金については、外部委員を含めた補助金の審査委員会の審査により、更なる標準化、適正な支出に努める。

公債費の分析欄

類似団体内平均値、全国平均及び大阪府平均をそれぞれ上回る結果となっている。大きな要因は、平成の初頭から遅れていた都市基盤整備事業を進めるにあたり、その財源の大部分を地方債に頼ったことによること、また、土地開発公社の多量の保有地を買戻しするために起債を続けていることにある。過去の都市基盤整備に関する市債の償還は終了しつつあり、近年は公債費の割合が低下傾向にあるが、将来的には施設の新設・更新のための起債が見込まれるため、高止まりが予想される。今後の建設事業等においても、できる限り起債に頼らない財源確保を行い、元金償還以上の起債を極力抑制することで、公債費の削減に努める。

公債費以外の分析欄

類似団体内平均値、全国平均及び大阪府平均をそれぞれ下回っている。経常経費の中で大きなウエイトを公債費が占めているため、それ以外の支出を抑制して収支のバランスを保っていることが要因となっている。しかしながら、公債費以外のほぼ全ての項目で上昇傾向が見られるため、今後も事業の精査や効率化、市長戦略による民間活力の導入等を進め、経常経費全般についての抑制に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2017年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

上記の各グラフが示すように、公債費以外の全ての費目について、住民一人当たりのコストが類似団体内平均値を下回っており、特に総務費及び消防費については、類似団体の中でも非常に小さい数値となっている。この各数値には、財政健全化を進めるなかで、各事業の見直しを行い事業費の削減を進め、その財源で市債の償還や土地開発公社の簿価の圧縮を行っているという背景が表れている。特に総務費については、総務・管理部門の人員削減を進めたことや、庁舎・自治振興施設の整備等を極力抑えてきた結果であり、消防費については、市域が狭く、またその半分を山間部に占められていることから、支所等が必要無く、結果的に費用が抑えられていることが数値に表れている。一方、民生費及び土木費は増加傾向が続いており、社会保障費の増加やインフラ施設の老朽化対策等の影響が表れている。公共施設やインフラの維持的経費を抑えながら財政運営を行ってきた結果が上記グラフであり、今後の施設の更新や長寿命化を行うため、選択と集中を行いながら、より良い住民サービスを行える財政運営に努める。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2017年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

性質別歳出の特筆すべき点としては、人件費及び公債費が類似団体内平均値を上回っていること、また、物件費及び補助費等が大きく類似団体内平均値を下回っていることが挙げられる。この大きな要因としては、消防・給食調理・ごみ収集等を直営で行っている本市では、類似団体に比べて人件費が多くなり、その分業務委託に関する費用や一部事務組合への負担金等が抑えられているため、物件費及び補助費等が少ないことが挙げられる。普通建設事業費については、負債額の削減を最大の課題としていることから、投資的な事業をできる限り抑制している状況であり、平成29年度についても低い水準になっているが、今後施設の更新、老朽化対策を進める必要があり、上昇が想定されている。公債費については、平成の初頭に行った都市基盤整備について、多額の起債を行ったことや、本市の懸案事項である土地開発公社の健全化のため、公社用地の買戻しについての起債を行っていることから、高い水準となっているが、その償還が終了しつつあることから、減少傾向となっている。今後、人件費の抑制や、公債費の計画的な低減、効率化のための業務分析、市長戦略に基づく民間活力の導入等を進めながら、歳出抑制に努める。

実質収支比率等に係る経年分析(2017年度)

分析欄

近年は、財政健全化計画の実施などから歳出削減を行ってきた結果、基金を減らすことなく実質収支で黒字を維持することができている。しかしながら、今後は社会保障関連経費の増加や、公共施設の更新、老朽化対策及び再配置等の費用、それに係る公債費負担の増加による財政状況の悪化が懸念されるところであり、それらに対応するために、黒字の一部については、財政調整基金への積立を行っている。平成29年度決算では、実質収支は減少したものの、財政調整基金への積立により、それらの合計は増加しており、標準財政規模を超えている。将来負担への一定の備えはできていると言えるが、事業の精査や選択と集中により、基金の取り崩しに頼らない適正な財政運営に努める。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2017年度)

分析欄

過去より連結実質赤字比率は黒字で推移しており、平成24年度からはすべての会計において黒字となっている。この連結における黒字額の多くは水道事業に依存している状態であり、水道事業自体の黒字は縮小していること、また、今後、高齢化による社会保障経費の増加に伴い、介護保険特別会計等で収支が悪化する可能性があることなどから、一般会計だけでなく、市全体としてバランスのとれた適正な市政運営に努める。

実質公債費比率(分子)の構造(2017年度)

分析欄

平成29年度における実質公債費比率は11.9%となっており、平成28年度の13.1%と比較し1.2ポイント改善している。これは、総合体育施設の整備に関する市債の償還が一部終了したことなどから、元利償還金の数値が大きく下がったことにより、実質公債費比率の分子が小さくなったことが要因となっている。しかし、実質公債費比率は、類似団体内平均値と比較すると依然として高い比率となっており、新学校給食センターや新ごみ処理場の整備に係る市債の償還が数年後から始まることで、再び数値の悪化が予想されるため、今後は、市債の新規発行の抑制や低利率での借入を行うなど、比率の改善に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2017年度)

分析欄

平成29年度における将来負担比率は121.6%となっており、平成28年度の142.3%と比べ20.7ポイント改善したが、全国的に見てもいまだ非常に高い数値となっている。この要因としては、大規模な都市基盤整備に伴う市債の発行や、土地開発公社において、市の財政規模に見合わない用地取得を行ったことにより、多額の負債を抱えたことが挙げられる。近年は公社用地の計画的な買戻し等を行った結果、順調に比率は低下しており、平成29年度についても、一般会計における負債額や、公社の簿価額は縮減しており、将来負担比率の分子は縮小傾向にある。また、一部事務組合でごみ処理場を整備したことから、組合等負担等見込額が大幅に増加したが、充当可能財源も増加したため、分子の増加に関する目立った影響はない。将来的には、老朽化した施設の更新や長寿命化等の費用について、新たな市債の発行による比率の悪化が見込まれるところであり、今後も土地開発公社の健全化を進めつつ、新規の公共投資については選択と集中を行うことで、市民サービスへの投資を行いながら、数値の改善に努める。

基金残高に係る経年分析(2017年度)

基金全体

(増減理由)決算余剰金の財政調整基金への積立及び災害対策に備えた災害対策基金への積立を行ったことから、平成29年度は基金全体としては、28年度から2億8700万円の増となった。(今後の方針)短期的には残高が上昇する可能性があるが、今後の施設の老朽化対策等の財源として、長期的には大幅な減少が見込まれている。

財政調整基金

(増減理由)地方財政法に基づく決算余剰金の積立及び財産運用収入、寄附金の受入等を行い、取り崩しを行わなかったことから、2億5900万円の増となった。うち、前年度余剰金の積立が2億1300万円となっている。(今後の方針)短期的には残高が上昇する可能性があるが、今後の老朽化対策等の財源として、長期的には大幅な減少が見込まれるとともに、財政調整基金を取り崩し、特定目的基金への積立を予定している。

減債基金

(増減理由)預金利子の積立に伴う増加となっている。(今後の方針)満期一括償還での借入を行っていないため、当面財源を確保しての積立を行う予定はなく、繰上償還の財源等に活用を予定している。

その他特定目的基金

(基金の使途)地域保全整備基金:市域内における自然環境を保護育成し、健康で文化的な都市環境の形成と良好な生活環境を保全する事業都市の緑基金:都市の緑を計画的に保全又は創出し、人と自然が共存できる安全で快適なまちづくりを推進する事業社会福祉事業基金:本市において大規模災害が発生した際の復旧対策等を円滑に推進するとともに、他地域において大規模災害が発生した際の支援活動等に資するための事業第二京阪道路環境監視基金:第二京阪道路に係る継続的な環境監視を行うための事業災害対策基金:本市において大規模災害が発生した際の復旧対策等を円滑に推進するとともに、他地域において大規模災害が発生した際の支援活動等に資するための事業(増減理由)災害対策基金:将来の災害に備えることを目的として計画的に積立を行っており、3,057万円の増となっている。第二京阪道路環境監視基金:環境監視事業に対する財源として取り崩しを行ったため、676万円の減となっている。(今後の方針)地域保全整備基金:第二京阪道路沿道の区画整理事業に関する財源とするため、将来的に大幅な減少を見込んでいる。災害対策基金:大規模災害に対応する財源を確保するために、必要額を見込んで計画的に積立を進める予定としている。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2017年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率は80%を超えており、全国平均、大阪府平均を大きく上回り、類似団体内で最も高くなっている。これは、負債総額の圧縮を図るなど財政健全化を進めるにあたり、施設の更新や大規模な改修等を先延ばしにしてきた結果であるといえる。今後は、「交野市公共施設等総合管理計画」に基づき、施設の更新、長寿命化を進めていく。

債務償還可能年数の分析欄

平成初頭の土地開発公社による多額の用地取得の影響により、債務償還可能年数は全国平均、大阪府平均及び類似団体内平均値の全てを、大きく上回る値となっている。今後は、市長戦略に掲げる公社用地の計画的な買戻しや、市債の発行の抑制に取り組むことで地方債残高を抑制し、全国平均、大阪府平均及び類似団体内平均値とのかい離を埋めていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率については、平成初頭の土地開発公社による多額の用地取得の影響により、類似団体内平均値に比べ高い数値となっているが、財政健全化への取組により減少傾向となっている。一方、有形固定資産減価償却率も高い数値となっており、財政健全化への取組のために、施設の老朽化対策等が後回しになっていることが表れている。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

土地開発公社による市の規模に見合わない多額の用地取得が過去に行われた影響などから、将来負担比率、実質公債費比率ともに類似団体内平均値に比べて高い数値となっているが、近年は公社用地について計画的に買戻しが進んでいることや、平成の初頭に行った都市基盤の整備にかかる市債の償還が終了してきたことなどから減少傾向となっている。しかしながら今後も起債による公社用地の買戻しや、新給食センター及び新ごみ処理場に係る地方債の償還に加え、公共施設の更新、長寿命化を進めていく必要があることから実質公債費比率については、今後大きな減少は見込めない見通しとなっている。引き続き、市長戦略に掲げる公社用地の計画的な買戻しや、市債の発行の抑制に取り組むことで、実質公債費比率及び将来負担比率の過度な上昇を抑制していく。

施設類型別ストック情報分析表①(2017年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率は、類似団体内平均値と比較して全般的に高い傾向にある。特に、有形固定資産減価償却率が高い施設は、「公営住宅」、「認定こども園・幼稚園・保育所」及び「学校施設」であり、減価償却率が90%を超えている状態となっている。これは、市営住宅が全て耐用年数を超えていることや、学校や保育施設等についてもそのほとんどが昭和40年代半ばから50年代にかけて建設されており、施設の老朽化が進んでいることが要因として挙げられる。一方、有形固定資産減価償却率が類似団体内平均値と比較して低い施設は、「道路」である。道路については、毎年一定の更新改修を進めているため、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値より低い数値となっている。また、一人当たりの施設の面積や延長については、全体的に類似団体内平均値より低い傾向にある。特に道路延長については市域の面積が小さいため、小さい数値となっている。このことは道路の改修費用負担が比較的少なく、順次改修を進められている状況があり、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値より低い要因となっている。今後は、上記の大半の施設が築30年以上を経過していることから、「交野市公共施設等総合管理計画」に基づき、施設の更新、統廃合、長寿命化等を計画的に行い、良質で持続可能な公共施設サービスが提供できるよう取り組んでいく。

施設類型別ストック情報分析表②(2017年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率が類似団体内平均値と比較して高い施設は、「消防施設」及び「庁舎」である。これらの施設は、昭和40年代半ばから50年代にかけて建設されているため、減価償却が進み、全体的に耐用年数が近付いていることが要因として挙げられる。また、一人当たり面積については、市域が狭いことから、消防署、図書館がそれぞれ一か所しかなく一人当たり面積が狭い一方、比較的大規模な総合体育施設があることにより、体育館・プールについては一人当たり面積が広くなっている。今後、施設の減価償却の進み方をふまえながら、施設の更新、長寿命化を進めていく必要があるため、「交野市公共施設等総合管理計画」に基づき、良質で持続可能な公共施設サービスが提供できるよう取り組んでいく。

財務書類に関する情報①(2017年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が平成28年度と比較して、528百万円の減少(△0.8%)となった。これは、有形固定資産のうち特に建物減価償却累計額及び工作物減価償却累計額が増加していることが主な要因である。一方、流動資産のうち基金については、前年の黒字額に対しての財政調整基金への積立により、127百万円の増加(+3.7%)となった。負債総額については、地方債残高の圧縮により、897百万円の減少(▲2.6%)となった。資産総額における有形固定資産の割合は89.5%と非常に高い割合を占めており、前年比で0.6%上昇している状況である。また、水道事業会計、各特別会計を含めた全体も一般会計等と同様に工作物減価償却累計額が増加していることから固定資産の減価償却が進んでいる傾向が見られる。さらに土地開発公社及び各一部事務組合を含めた連結では、市が土地開発公社用地の買い戻しを進めた結果、固定負債が減少した。今後の施設の維持管理や更新等については、将来の負担を伴う事業となるため、公共施設総合管理計画に基づいた適切な施設管理を進めるとともに、今後の支出に備えた基金等の積立を進めていく。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用が20,407百万円となり、人件費等の業務費用は11,037百万円、補助金や社会保障給付等の移転費用は9,370百万円となっている。なお、最も金額が大きいのは社会保障給付であり、5,324百万円となっており、平成28年度と比較して、152百万円の増加(+2.9%)となっており、今後も高齢化の進展などにより、この傾向が続くことが見込まれることから事業の見直しや介護予防の推進等により、経費の抑制に努める。次いで金額が大きいのは人件費であり、5,321百万円、経常費用のうち26.1%を占めている。これは消防組織を市単独で維持していることや、給食調理やごみ収集を直営で行っていることが理由に挙げられる。今後、ごみ処理施設の新設に伴い、一部事務組合への補助費の増加が想定されていることから、事業の見直しや業務の民間委託を推進し、人件費の抑制に努める。また、少子高齢化により社会保障関連経費が増加傾向にあることから、全体では、国民健康保険特別会計や介護保険特別会計の給付費が増加しており、純行政コストは34,217百万円となった。さらに、連結では、大阪府後期高齢者医療広域連合の給付費が大幅に増加した一方、土地開発公社の特別損失が減少したことにより、純行政コストは43,035百万円となっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(20,246百万円)が純行政コスト(19,876百万円)を上回ったことから、本年度差額は370百万円となり、純資産残高は369百万円の増加となった。これは、地方債の発行を極力抑制し、負債の圧縮に努めていることや税の徴収率が高く、税収を確保できていることが純資産の増加要因として考えられる。また、全体では、平成28年度と比較して、本年度純資産変動額が減少した主な要因として、水道事業会計における臨時利益の減少が挙げられる。ただし、国民健康保険特別会計や介護保険特別会計の保険料などの増分によって、純資産残高は前年比761百万円増の35,194百万円となった。さらに、連結では、平成28年度と比較して土地開発公社のにおける資産除売却損が減少したことに加え、高齢者の増等により大阪府後期高齢者医療広域連合の国府等補助金が増加していることから、純資産残高は37,808百万円となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、一部事務組合等に対する負担金の増加や介護保険や後期高齢医療の特別会計への繰出金や障害者支援等の扶助費の増加により、業務活動収支は平成28年度から468百万円減少し、2,273百万円となった。投資活動収支については、学校施設の防災機能強化事業等施設の整備や、基金への積極的な積立を行ったことから、△1,727百万円となった。また、財務活動収支については、地方債の償還額を上回らないように地方債発行を行うように努めていることから、△984百万円となった。そして、本年度資金収支額は、基金への積立を進め、地方債の発行を抑えてはいるものの、一部事務組合等に対する負担金や特別会計への繰出金や扶助費が増加したことにより△437百万円となった。今後も資金収支のバランスを保てるように行財政改革の推進に努める。また、全体では、水道事業会計や下水道事業会計の使用料などを計上しているため、業務活動収支は3,609百万円となる一方で、水道管、下水道管等のインフラ整備により、投資活動収支は△2,625百万円となった。さらに、連結では、土地開発公社における公有地取得事業等が業務収入に含まれることなどから、業務活動収支は3,771百万円となり、財務活動収支は、地方債等償還支出が地方債等発行収入を上回ったことから、△2,489百万円となった。

財務書類に関する情報②(2017年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たりの資産額が類似団体平均値を下回っているが、これは、比較的市の面積が小さく、施設の数が少ないことや道路の延長が短いことが影響していると考えられる。また、取得価格が不明であるものが多く、備忘価額1円で評価をしているものも多いことから、評価額による資産計上ができている団体よりも低くなっている。有形固定資産減価償却率については、昭和40年代から50年代にかけて整備された資産が多く、更新時期を迎えているが、財政健全化の取組により投資的な予算をこれまで抑えてきた経過から、類似団体平均値に比べて高い数値となっている。今後、施設の計画的な更新、長寿命化を行い、適正管理を進める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は類似団体平均値を下回っているが、これは市の懸案事項である土地開発公社の保有地について、地方債を発行して継続的に買戻しを続けており、地方債残高が多くなっているためである。ただし、33,492百万円の負債のうち、地方交付税の不足を補うための特例的な地方債である臨時財政対策債が3割以上を占めており、この割合は年々増加している。今後も、国の制度により発行がほぼ不可欠となっている臨時財政対策債以外の地方債発行は極力抑制し、必要以上に負担を先送りしないように努める。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均値を下回っている。これは、これまでの財政健全化の取組の中で、経常的な費用を削減してきたことや、社会保障給付としての扶助費や他会計への繰出金が比較的少ないことが要因として挙げられる。今後、更なる行政運営の効率化を図るため、民間活力の導入などによる人件費の削減など、行政コストの圧縮に努める。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は類似団体平均値と同程度であり、地方債を償還額以上に発行していないため、今後も減少が見込まれる。なお、臨時財政対策債以外の負債額については、年度当初から1,291百万円減少している。また、基礎的財政収支については、業務活動収支の黒字分が投資活動収支の赤字分を上回ったため1,127百万円となっている。これは、地方債の発行や基金の取り崩しに頼らず歳入歳出のバランスが取れている状態であり、今後もこのバランスを維持できるよう、行政コストの圧縮等に努める。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、類似団体平均値をやや下回る水準となっている。今後、施設の老朽化等による維持補修等の費用の増嵩が見込まれることから、公共施設等総合管理計画による適正な施設管理を進める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,