経営の健全性・効率性について
「経常損益」「累積欠損」については、直近5年間の経常収支は黒字で、累積欠損金も生じておらず、「料金回収率」も100%を超えていることからも分かるように、現時点では経営の健全性は保たれています。しかし、「流動比率」を見ると、値は100%を超えていますが、「支払能力」は年々低下傾向にあります。これは平成26年度の新たな公営企業会計基準の導入による影響もありますが、料金収入の減も大きく影響しており、料金体系の見直しをはじめとする収益の確保に向けた取組みが課題となっております。「企業債残高対給水収益比率」は、全国平均や類似団体を上回っておりますが、これは、建設改良の財源を他団体より企業債(借入金)に依存している状態を示しています。しかし、残高そのものは、借入額より償還額を増やすことで年々減少しております。「給水原価」は全国平均や類似団体と比べると低い状態にありますが、「債務残高」にも表れているように、企業債の後年度の利払いが「費用の効率性」を悪化させる要因となりかねないため、今後は、借入期間・元金の据置期間の短縮等で費用の削減を図っていきます。「施設の効率性」「供給した配水量の効率性」については、全国平均・類似団体を上回っているものの低下傾向にあります。今後の人口減少や節水型社会のさらなる進行も視野に入れたうえで、施設の統廃合やダウンサイジング(規模縮小)も念頭にいれた効率的な施設運営の検討を進めます。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」及び「管路経年化率」は、全国平均や類似団体を下回っているものの年々上昇傾向にあります。「管路更新率」についても、類似団体を下回り低下傾向にあることから、更新期限を過ぎた管路も相当な延長になっており、老朽化は進行しています。これらは、料金収入減による更新財源の減少が要因となっており、今後修繕の増等によるコスト増も見込まれ、経営に大きく影響を与えていくと考えられます。また、今後は、発生が懸念されている巨大地震に対応するため、アセットマネジメントを参考に老朽化の状況や被災時の影響度等から整備の優先順位を決定し、更新および耐震化を順次行う予定です。
全体総括
人口減少や節水型社会の進行に伴い料金収入が減少する一方、老朽化した施設の更新や巨大地震に備えた耐震化対策等でコストの増加が見込まれ、経営は厳しい局面を迎えております。50年後、100年後も水道事業を継続していくために、「新水道ビジョン」を踏まえた「経営戦略」を策定し、料金体系の見直しや効率的な運営、計画的な施設の更新に取り組み、経営基盤の強化を図っていきます。