経営の健全性・効率性について
簡易水道事業については、市内周辺部に44施設が点在しており、給水人口も徐々に減少していることから、料金収入だけでは維持管理費用を賄えていない状況であり、一般会計からの繰入金に依存している。したがって、収益的収支比率、料金回収率、施設利用率は類似団体平均値を下回っており、厳しい経営状況となっている。料金水準の適正化については、平成17年の市町村合併以降据え置きしていた使用料金を平成25年10月から段階的に10年間をかけて上水道料金に統一を図っており、最終的には約90,000千円の収入増を見込んでおり、徐々に収益の改善を図っている。なお、この料金統一の効果については、経過措置と基本水量が10㎥から8㎥となった影響から平成26年度の料金回収率は改善されていないが、平成27年度から徐々に効果が現れてくる見込みである。
老朽化の状況について
施設利用率については人口減少等により利用効率が下がっているため、類似団体の平均値を下回っているものの、有収率については、計画的な老朽管の更新や漏水調査等の効果とあいまって類似団体の平均値を上回っている。平成28年度からは資産調査を実施し、更新の必要性の高い管路については経営に与える影響を踏まえ、管路の更新計画を見直す予定である。
全体総括
有収率を除くすべての項目について類似団体平均値を下回っており、非常に厳しい経営状況であると言える。この原因は市内周辺部に点在しているため、管路延長が長いこと、起伏に富んだ地形であるため、多数のポンプ施設が必要になること、施設数が多いこと等が挙げられる。今後は料金水準の改善が見込めるものの、それだけでは十分と言える状況ではないため、施設・設備の更新においては、人口減少や給水需要の減少を踏まえ、ダウンサイジング、スペックダウン、長寿命化を図りながら効率的な投資を行うとともに、民間委託等による業務の効率化を図る必要がある。