経営の健全性・効率性について
一般的に簡易水道は、住家の点在する中山間地域に布設していることから施設整備費用が高額となり、料金収入だけでは経営が困難なため、国庫補助金や一般会計からの繰入金などの財源に依存する厳しい財政状況となっています。当市の平成28年度における収益的収支比率は、全国平均値を大きく下回り、約65%に留まっています。これは、平成29年度の水道事業との統合に向けて施設整備に注力するとともに、財源として借り入れた地方債の償還割合が高いことが主な要因となっています。また、施設整備によって給水可能区域は拡大したものの、投資に見合った料金回収が行われているとは言い難く、給水原価も年々上昇傾向を示しています。管路の修繕、更新の進捗や総配水量の減少に伴って有収率は一定の向上を見せたものの、一日の平均配水量は減少傾向にあり、施設利用率も低下しています。
老朽化の状況について
当市では、施設管理システムの構築や資産調査を実施し、老朽化施設の現状について把握に努めています。当市の簡易水道事業は、昭和25年から供用開始されている地域もあり、一部の施設については、生活基盤近代化事業や簡易水道再編推進事業により更新を図るとともに、道路改良工事に合わせた老朽管の更新や、漏水の多い管種の耐震管への更新を進めています。このような取り組みにより、28年度の管路更新率は約1.37%となり、全国平均を上回っています。
全体総括
当市の簡易水道事業は、平成29年4月1日に水道事業と統合したことから、平成28年度をもって終了となりました。今後は上水道事業として、料金収入を基本とした健全な経営を目指します。統合後の簡易水道施設は維持管理が中心となることから、資産管理を行うためのアセットマネジメントや、水道施設管理システムに基づき策定する水道事業整備計画により、計画的、効率的な施設の更新と耐震化をすすめるとともに、需要に合わせた施設規模の見直しを行いながら、水道の安定供給に努めていきます。