経営の健全性・効率性について
簡易水道事業特別会計は平成28年度末に打切決算を行っており、各経営指標は打切決算時点の数値である。このため、収益や費用には打切決算により発生する未収金及び未払金が含まれてない。本経営比較分析では、打切決算による影響を除いた実質的な指標を試算して行った。①収益的収支比率は、打切決算の影響を除いた試算では「98.08%」となる。総収益及び総費用とも減少したが地方債償還金が増加したため微減となった。類似団体平均との比較では一貫して上回っている。④企業債残高対給水収益比率は、打切決算の影響を除いた試算では「1241.78%」となる。平成28年度末に完了した簡易水道統合事業に係る建設改良費の財源として、企業債の借入を行っており残高は増加傾向にある。⑤料金回収率は、打切決算の影響を除いた試算は「55.71%」となる。平成27年度より上昇したものの、給水原価が高いため類似団体平均と比べ低い傾向が続いている。⑥給水原価は、打切決算の影響を除いた試算は「391.21円」となる。中山間地域が給水区域であり施設の維持管理費が多大になる傾向となり、類似団体と比較して給水原価が高い要因になっている。⑦施設利用率は、給水人口が減少傾向にあり、それに伴う配水量の減少から施設利用率も前年度から減少している。⑧有収率は、平成28年度に規模が大きい漏水が発生した管路の修繕を行ったため大幅に改善している。
老朽化の状況について
簡易水道統合事業により、管路の更新を積極的に進めてきた。平成26年度には稲武簡易水道統合事業が完了し管路更新率がピークとなったが、その後は浄水施設の更新を中心に統合事業を実施しているため管路更新率は減少している。
全体総括
本市の簡易水道事業は、平成28年度末をもって廃止し豊田市水道事業と経営統合を行った。簡易水道地区は、広域な範囲で小規模な施設が数多く点在し施設管路の維持管理面で不利であるが、今後は統合後のスケールメリットを活かすとともに管理の一元化などの効率化を図り、コスト削減につなげる必要がある。なお、経営戦略については水道事業との経営統合を踏まえ、平成28年度に水道事業の経営戦略に包含して策定済みである。