雲仙市：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

比較的収益をあげていた地域が平成26年度に統合整備事業が完了し、上水道事業へ移行したことにより収益が減少し、その影響で収益的収支比率及び料金回収率が下がっている。また、施設や管路等が老朽化しているところが多いため、漏水が多発しており、その結果有収率が低くなっている状況である。逆に企業債残高対給水収益比率は統合整備事業を実施していることから、企業債を借入していることもあり、高い数値で推移している状況である。さらに、給水原価は統合整備事業の最終年度ということもあり、資産整理業務等の費用も重なったことから、類似団体数値よりも高くなっている。しかしながら、施設利用率は統合整備事業により施設の統廃合を行ったこともあり、類似団体よりも高い数値となっている。平成28年度をもって統合整備事業を完了し、平成29年度から簡易水道事業特別会計を廃止し、水道事業に経営統合を行っているが、旧簡易水道地区の経営状況については、今後も厳しいものと思われる。

老朽化の状況について

管路の更新については、平成28年度が国庫補助による整備事業の最終年度であったことから、管路の更新を実施しているものの、大規模な更新は国庫補助事業の1地区のみとなっていることから、更新率は依然として低い状況にとどまっている。平成29年度から水道事業に経営統合しているものの、厳しい経営状況が続くものと思われるため、計画的に管路の更新を行い、安心安全な水の提供を行えるよう進めていきたい。

全体総括

平成29年度から水道事業に経営統合を行っているが、簡易水道地区については、料金回収率が4～5割程度と非常に脆弱な経営基盤であり、また、将来的には人口減少による収入減も見込まれることから、水道事業会計に対してかなりの負担をかける状況となるものと考えられる。さらに、施設や管路の老朽化や漏水多発による有収率の低下等費用的な面に目を向けても喫緊の対策が必要となっている状況である。今後は水道事業としての経営及び施設整備となってくるが、管路等施設の更新や維持管理等の投資、経常経費の効率的な経営を推進とともに、長期的な視点での事業運営について、計画的に取り組んでいかなければならないものと思われる。