経営の健全性・効率性について
平成28年度の経営状況としては、経常収支比率が101.43%と100%を上回り、累積欠損金比率も2年連続で0となっている。ここ2年において何とか黒字経営に転換したものの、純利益は僅かである。短期的な支払能力を表す流動比率は589.72%と100%以上であり、流動資産が流動負債を上回っていることから、短期的債務に対する支払いは十分対応できると考えられる。料金回収率は、96.98%と100%を下回る状態が続いており、経営に必要な費用を料金で賄うことができていない経営状況であるといえる。給水原価は104.34円であり、類似団体平均値(74.02円)を大きく上回る水準となっているが、事業環境が異なることから、類似団体平均値の水準まで抑えることは現実的に困難と思われる。施設利用率については92.96%と類似団体平均値を大きく上回っており、効率的な施設運転ができているといえる。
老朽化の状況について
熊本県企業局と4ヶ年計画で実施していた導水管強靭化(老朽管更新)工事(約3.4㎞)が、平成28年度に完了した。なお、送水管については老朽化の該当はない。平成16年2月の供用開始から14年目となる当企業団の施設については、平成28年度に「更新基本計画(電気・計装・機械)」を策定したところである。今後は、計画に基づく設備改良及び更新事業を実施し、適切な施設の維持管理・運営を行っていく必要がある。
全体総括
「経常収支比率」及び「料金回収率」の数値が示すように、これまで3条予算による利益を生むことができず、資金確保が不十分であるといえる。今後、多額の費用発生が見込まれる改修・更新事業を確実に実施し、安定かつ健全な事業経営を維持するための財政収支計画を経営戦略により平成29年度に策定することとしているが、将来にわたっても持続可能な料金水準への見直しを検討する必要がある。