経営の健全性・効率性について
収益的収支率は、70%を上回っており経年で比較すると右肩上がりの傾向である。今後も経営の健全維持に向けた適正な料金水準の設定や経費節減の検討を行う必要がある。企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均値に近い数値であり適正な経営を行っている傾向である。料金回収率は、類似団体平均値を下回っているため、適正な料金収入の確保を検討すべき必要がある。給水原価、施設利用率は類似団体平均値よりも高い水準となっているが有収率は平均値を大きく下回っている傾向である。有収率は、75.39%と平均値と変わらない数値ではあるが漏水防止の観点、経営効率向上の観点、さらに水資源の有効利用といった環境負荷軽減の観点から考えると、今後も漏水防止対策などが必要と考えられる。
老朽化の状況について
管路更新率は、経年で比較すると右肩上がりの傾向である。対馬市の水道事業の特徴として山間部の狭小な平地や沿岸部の入り江に施設が点在しているため今後も経営の健全維持に向けた管路更新の計画・検討を行う必要がある。
全体総括
対馬市の水道事業は今日まで、常に安全で安心な水道水を低廉な価格で安定的に供給することを基本として運営している。しかしながら、今後の事業経営については、減少傾向にある水需要に伴う収益への影響、施設の更新・整備に要する多額の投資に加えて、給水の安全性や安定性に対する社会的要素がいっそう高まってきている。特に老朽化する施設の整備や事業の統廃合、運転管理及び維持管理体制の効率化など、さらには財政基盤の強化や経営統合による水道料金体系の統一化など事業の見直しや方向性を明らかにすべき必要性が生じてきている。