経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び料金回収率は、全国平均と比べて低く、更に100%を下回っている。これは支出に対して料金収入が少ないことが主な要因であるが、料金については、構成団体と当企業団で構成する用水供給料金問題等検討委員会を設置して3年ごとに協議を行って決定しており、料金算定において、未処分利益剰余金を次期料金の低減に活用しているためである。未処分利益剰余金の活用については、10年間の財政計画を策定して、長期的な料金水準の推移と経営の安定に十分な配慮を行いながら料金低減を図っており、将来的に健全な経営が維持できるものと考えている。また、施設利用率は全国平均を大きく上回っており、有収率も全国平均と同水準であることから効率的な経営を行っていると判断している。
老朽化の状況について
平成27年度末で供給開始から15年を経過するが、現時点で更新の必要な施設はない。ただし、平成30年頃から監視計装設備の更新をはじめ、機械や電気設備の大規模更新が必要となってくる。また、管路については、将来的には減少する水需要を考慮して施設規模を再検討する必要はあるが、耐久性等に優れたダクタイル鋳鉄管を使用して実耐用年数を概ね60~80年と想定していることから、現時点においては直ちに更新の必要な管路はない状況である。
全体総括
経営及び施設の状況については、現時点では良好な経営状況と適正な施設管理ができているものと考えている。このような経営環境の中、減価償却費等による内部留保資金の確保ができていることやこれまで大規模な施設更新がなかったことなどから、現在は料金低減に未処分利益剰余金を活用している状況である。しかし、数年後に大規模な施設更新が始まっていくことを考慮すれば、財源不足も十分に想定されることから、今後は更なる経費削減を図り、健全な経営の維持に努め、更新財源の確保について検討していきたいと考えている。なお、将来の人口減少に伴う料金収入の減少、それに伴う経費削減、更新財源の確保、危機管理体制の強化、技術者の確保・養成等の諸課題に対応していくために、構成団体の水道事業と当企業団の用水供給事業の事業統合に向けて現在協議中である。