経営の健全性・効率性について
当企業団水道事業は、令和2年4月1日に多久市、武雄市、嬉野市、大町町、江北町、白石町及び西佐賀水道企業団の水道事業を統合して新たに事業を開始したところである。経常収支比率と料金回収率はともに100%を下回っている。これは、事業統合に伴い、令和2年4月及び5月分の給水収益を旧水道事業体の令和元年度分の収入としたことで、企業団の令和2年度の給水収益が1年分確保できなかったことが主な要因である。また、施設利用率及び有収率についても、令和2年4月及び5月分の有収水量を旧水道事業体の令和元年度分としたことで類似団体と比べ低くなっており、給水原価についても同じ理由で類似団体と比べ高くなっている。企業債残高対給水収益比率は類似団体と比べ低くなっているが、現在の企業債残高はすべて旧水道事業体で発行したものである。今後は、国の交付金事業を主体に施設更新等を進めていく中で、企業債を財源として有効に活用していく方針である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は類似団体と比べ高く、管路経年化率は類似団体と比べ低くなっており、特に浄水場などの施設の老朽化が進んでいることがわかる。事業統合の効果として、企業団内部で水運用における融通が可能となったことから、老朽化した複数の浄水場を廃止する計画である。管路については、国の交付金を活用して老朽管の更新を行っていく予定である。
全体総括
本年度から水道事業を統合し、新たに事業を開始したところであるが、事業統合前の想定と比較して、令和2年4月及び5月分の給水収益が確保できなかったことにより収入は減少し、また、旧水道事業体の遊休施設の解体費や他事業に関連する道路復旧費などの費用が発生したことにより支出は増加となっている。今後は、事業統合により可能となった浄水場の廃止や7営業所の統廃合を進めることにより人件費や施設の維持管理費を削減していく予定である。また、令和3年3月に策定した「佐賀西部広域水道企業団新水道ビジョン」に掲げる『安全で安定した水を確かな技術・運営力で継続的に』に基づき事業を推進していく。