経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び料金回収率のいずれもここ数年100%を超え、27年度は全国平均値をわずかに追い越す水準となり、安定した収支状況と言える。流動比率は、必要とされている100%を常に上回っており支払能力に問題は無く、累積欠損金も計上していない。企業債残高対給水収益比率については、高い比率であるものの、全国平均より低く、年々減少傾向が顕著となり、資金繰りに問題は無く健全であると言える。施設利用率は、企業団発足時の広域化と施設計画上の問題から長年低い水準に留まっているところであるが、今後は人口減少問題により更なる低下も危惧されるところである。有収率は全国平均値を下回っているが、配水地点と送水管延長の送水形態に依るところであり、問題視すべき点とは言えない。給水原価の高さについては、施設利用率の低さ、すなわち配水量の少なさが原因として挙げられる。また、域内の人口密度の低さが、全体として効率性を落としている点も大きい。
老朽化の状況について
管路経年化率から見ると、管路については早急な更新は現在必要ではないが、今後、管の経年化が同時期に来ることを踏まえ更新計画を策定していくこととなる。有形固定資産減価償却率から見ると、約68%と全国平均より高い比率であることから他事業体より浄水施設等の老朽化が進んでおり、更新期を迎えている。
全体総括
当企業団の用水供給事業は、黒字収支であり累積欠損金も計上していないため、今のところ健全な経営状況にある。しかしながら、効率性は良いとはいえず、さらには将来の人口減少による収益減が見込まれることから、給水原価を抑えるためにも老朽化し更新期を迎える浄水関連施設及び管路のダウンサイジング、スペックダウンを考慮した更新計画を策定する必要がある。