経営の健全性・効率性について
◆経営の健全性について①・・・常に100%を超えて推移している。③・・・類似団体平均値と比較し良好な指標値を示している。④・・・類似団体平均値と比較し低い水準で推移している。ただし、老朽化の状況の③は類似団体平均値よりも高い水準で推移しており、必ずしも必要な更新を先送りしているわけではなく、経営の健全性は示せているといえる。◆経営の効率性について⑥・・・類似団体平均値と比較し一貫して高い水準にあるが、この要因としては、構成費目である受水費の高さが特に際立っている。受水費以外の費目が低い水準にあることからすれば、当市の配水能力が配水量に比して相当な余裕があるものの、受水を行わなければならない地域の特殊事情によるものと考えられる。⑦・・・類似団体平均値を大きく下回る水準となっており、適正な施設規模への転換を検討する必要がある。⑧・・・老朽管や鉛給水管更新による漏水減少の効果等により、前年度から0.43ポイント増加している。以上のことから、当市の経営における課題としては「効率性」であるといえる。
老朽化の状況について
①②・・・類似団体平均値よりも経年化した状況にはあるが、差は概ね縮小してきている。③・・・単年度比較では類似団体平均値よりも高い水準となり、また、過去3年間と比較した場合にも上昇傾向にあることからすれば、必要な更新を先送りしている状況にはないといえる。管路更新に当たっては、布設する配水管の道路事情等により進捗の程度は大きく変動するため、複数年度での更新率で判断するのが適当である。この場合、当市の直近5年間での更新率としては0.98%、約101年ペースでの更新となるが、平成29年3月に策定した「佐賀市水道事業経営戦略」において、配水管の実耐用年数を80年と設定しており、当戦略に沿った着実な更新計画を実行していく。
全体総括
当市では、特に経営の効率性について課題が残るものの、経営の健全性は保たれている。しかし、今後は、人口減少により本業である給水収益も減少していく上、浄水施設の大規模更新等が控えていることからすれば、当市の利益獲得力・資金力は確実に低下していくことが想定される。このため、平成29年3月に策定した「佐賀市水道事業経営戦略」に基づき、管路の耐震化や老朽管の更新、適正規模を見極めた浄水施設更新時のダウンサイジング・施設の統廃合などを計画的に実施することにより、投資額の縮減を図るとともに、広域連携・官民連携の推進、将来的には、人口減少社会に対応した水道料金制度の最適化が必要になると考えられる。