佐川町：高北国保病院

地域において担っている役割

当院は、高吾北地域唯一の公立病院として、また地域包括医療・ケア認定施設として、地域医療・地域包括ケアシステムの中核的役割を果たし、地域住民の要望に応じた救急医療体制の確保、人間ドック等各種健診体制の充実による住民の健康管理、医療不安解消のための医師の充足や医療機器の整備を行い、住民の健康保持に必要な医療が提供できるよう努めている。平成29年度には病床改編施設整備工事を行い、高知県地域医療構想にある「将来のあるべき医療提供体制を実施する施策」として、過多の医療療養病床から不足する地域包括ケア病床へ6床転換し、医療療養病棟の質の向上を図るとともに、必要な地域包括ケア病床を確保することで病床での在宅復帰支援体制を強化した。

経営の健全性・効率性について

平成22年度から4か年の継続事業であった病院耐震化事業の最終年度（平成25年度）は、旧建物等の資産減耗費により赤字にはなったが、それ以外の年度は経常収支比率100％を越え「経常黒字」を続けている。病床利用率も類似病院と比べて高く、病院施設は有効に活用されている。収益の効率性は、注射、投薬、検査等が包括になる地域包括ケア病床と療養病床が全病床の約6割を占めることと、常勤外科医不在のため手術件数が少ないこと等により、入院患者・外来患者1人1日当たりの収益は類似病院と比べて低くなっている。対して、職員給与費・材料費の対医業収益比率は類似病院と比べて低く、費用の効率性は高い。

老朽化の状況について

平成25年度に病院耐震化改修工事が完了し、老朽化した施設は新しくなり、併せて医療機械備品等も新設・更新された。このことにより、25年度から当院は有形固定資産・器械備品の減価償却率は低く、また、建設投資を行ったことにより、1床当たりの保有有形固定資産は類似病院より多くなっている。施設の老朽化は平成25年度に解消したが、これに伴う建設投資による減価償却費や企業債償還等にかかる支出は増大した。また、新設・更新した施設・医療器械備品も年々老朽化が進むため、今後も施設・医療器械備品の計画的な更新を検討していく必要がある。

全体総括

平成25年度の病院耐震化改修工事完了に伴い、施設の老朽化は改善したが、引き続き計画的な施設・医療器械備品の更新が必要である。また、病床利用率は高く一般会計からの所定の繰出も行われているので、経常黒字を続けることができている。しかし医師不足や医療制度改革、診療報酬改定など、医療を取り巻く環境は大変厳しいものであり、費用の中で最も高い割合を占める職員給与費をいかに適切なものとするか等も重要なことと考える。「病院での療養から地域での療養へ」、また、「地域での在宅療養の後方支援機能として」高吾北地域では他地域に増して地域包括ケア病床が必要である。当院ではそうした医療需要に応じ、地域包括病床を増床する病床改編を平成29年度に行ったところである。今後も地域住民の期待に応え、より一層良質な医療の提供に取り組むこととしている。