経営の健全性・効率性について
毎事業年度黒字計上により経常収支比率は100%を超えるとともに、流動比率は247.88%となっていることから、本市の水道事業は、現時点においては経営の健全性を保っていると言える。しかし、今後は、老朽化施設の維持費や、施設更新に伴う減価償却費の増加が見込まれる一方で、主な事業収益である給水収益が減少していくと考えられることから、これらの指標は、徐々に下降していくと考えられる。企業債残高対給水収益比率については、企業債の新規発行額を償還額の範囲内に抑えてきた結果、給水収益の約三倍程度まで減少したものの、浄水施設等の大規模更新時期を迎えていることから、現状以上の抑制は難しい。このため、施設更新にあたっては、規模の適正化を図り事業費を圧縮することにより、引き続き企業債発行額の抑制に努める必要がある。有収率については、平成29年度は90%を下回った。老朽管からの大規模漏水の影響と考えられるが、漏水調査や計画的な管路更新等、予防的対策についても積極的に取り組むことで、より効率的な事業運営に努めたい。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、類似団体を若干上回っている。浄水場をはじめ老朽施設が数多く存在しており、施設更新は喫緊の課題である。更新にあたっては、施設ごとに更新時期や規模について検討し、更新費用の抑制に努めるとともに、計画的に実施する必要がある。管路経年化率は、老朽管の更新事業に年次的に取り組んできた結果、類似団体よりも下回っている。管路更新率については、類似団体を上回っているものの、平成29年度は1%を切っており、順調に更新が進んでいるとは言いがたい。今後、法定耐用年数の1.5倍を基準として、基幹管路の耐震化を中心に優先順位を設定し、計画的に更新事業に取り組みたい。
全体総括
現在、経常収支比率が高く単年度で黒字を計上しているが、施設利用率は低く、給水原価も類似団体と比べ高くなっているなど課題も多い。今後、水需要の減少に伴い水道料金収入の減少が見込まれる中、老朽施設の更新のための財源確保に向けて、より一層経費削減に努める必要がある。また、施設更新に際し、近隣事業体との広域化も視野に入れ、施設規模の適正化を図る必要がある。