地方独立行政法人府中市病院機構：府中北市民病院

地域において担っている役割

市北部で唯一病床を有する救急告示病院として、中山間地域の在宅から救急医療までを担っている。医療機関は当院と診療所が１施設のみで、地域に不足する診療科として小児科、婦人科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、皮膚科医療を提供している。地域住民の在宅生活を支えるため、訪問診療、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリや定期巡回随時対応型訪問介護看護事業を行っている。市や介護事業所と在宅支援会議を定期的に開催し、協同して地域住民をを支えている。

経営の健全性・効率性について

①経常収支比率は、繰入金が前年度比較で1.3億円増額となったH27年度を除き類似病院平均を下回っており、繰入金不足である。②医業収支比率は平成26年度の病床再編から類似病院平均を大きく上回っている。③累積欠損金は、平成24年度から地独法に移行したことで、類似病院平均を下回っている。④病床利用率は、地独法に移行時に40床を減床したことで、類似病院平均を上回っている。⑤入院1人1日あたり収益は、病床の一部を平成28年9月より地域包括ケア病床に転換したことで増加傾向にある。⑥外来1人1日あたり収益は、平成28年度の透析患者の減少により悪化している。⑦職員給与費対医業収益比率は、平成26年7月に療養病棟を廃止し、効果的な人員配置に取り組んでいる。⑧材料費対医業収益比率は、類似病院平均を下回っている。コストの大きい治療が類似病院と比較して少ないということが考えられる。

老朽化の状況について

①有形固定資産減価償却率は、類似病院平均を下回っている。当院は、病院の本館を平成10年度に建て替えており、類似病院と比較して建物は新しいということが考えられる。②機械備品減価償却率は、類似病院平均を上回り上昇傾向にある。機械備品については、既に耐用年数を迎えたものを多く使用していることが理由と考えられる。③1床当たり有形固定資産は、平成26年度に10床減床したため一時的に上昇したが、それでも類似病院平均を下回っている。

全体総括

地方独立行政法人府中市病院機構は府中市立府中北市民病院と厚生連府中総合病院を統合し、平成24年度に病院運営を継承した。法人は診療機能の確保に努めるとともに高齢化が進む中、安心して地域で生活できるよう住民の健康を維持し、日常生活を支える医療の提供に努めてきた。府中北市民病院は、市北部で唯一病床を有する救急告示病院として、中山間地域の在宅から救急医療までを担っている。第１期中期目標の期間（平成24～27年度）では、両病院の存続による医療機能の確保という病院機構設立の目的の一つは達成されたが、医師をはじめとした医療従事者の不足は依然として解消されていない。第２期中期目標の期間（平成28～31年度）において、自律的な業務運営・管理体制の確立、長期的ビジョンを持った病院運営の推進及び病院の経営改善を達成すべく、市の協力を得て最大限の努力をしたい。