経営の健全性・効率性について
【①経常収支比率,②累積欠損金比率】経常収支比率は100%を上回っており,累積欠損金もないことから,現時点では経営は堅調に推移している。【③流動比率】流動比率は525%で全国平均を上回っており,他団体と比べ短期的な支払能力を十分確保している。【④企業債残高対給水収益比率】企業債残高対給水収益比率は,企業債の発行抑制に努めた結果,近年減少傾向にあるとともに,全国平均より低い水準を維持している。【⑤料金回収率】料金回収率は100%を上回っており,給水に係る費用が給水収益で賄われている。【⑥給水原価】給水原価は全国平均に比べ高い水準にあるが,これは本水道事業の給水区域が広範囲であり,管路等の投資費用及び維持管理費用が高いためである。【⑦施設利用率】施設利用率は水需要が建設当初の計画水量まで伸びなかったことから,全国平均を下回っている。また,今後も水需要の減に伴い施設利用率の減少が見込まれることから,県及び市町水道事業との広域連携による施設規模の最適化など効率的な運営を進めていく必要がある。【⑧有収率】有収率は全国平均を下回っているが100%を維持しており,施設の稼働状況が収益に反映されている。
老朽化の状況について
【①有形固定資産減価償却率】有形固定資産減価償却率は全国平均と同様に上昇傾向にあり,資産の老朽化が進行している。【②管路経年化率,③管路更新率】管路経年化率は昭和40~50年代に布設した管路が多いことから全国平均を上回っており,本水道事業では優先度の高い管路から順次耐震管に取り換え,管路更新を進めている。なお,平成28年度の管路更新率が他の年度に比べ大きく上回っているのは,複数年度にわたる大型工事が終了し,更新した管路の延長距離が大幅に伸びたことが主な要因である。今後は,同様の課題を抱える市町水道事業と県内水道事業全体で施設の最適化を図りながら,緊急度や重要度の高い管路の更新を加速的に進めていく。
全体総括
現時点では,本水道事業の経営は堅調に推移しているが,将来の収支見通しでは,人口減少等に伴う給水収益の減少や施設の老朽化に伴う更新費用の増加などにより,経営状況は悪化する見込みである。市町水道事業も同様の課題を抱えていることから,本県では,地方公共団体の責務として,将来にわたって安全・安心な水を適切な料金により安定供給する水道システムの構築に向け,県と市町で構成する協議会を設置し,経済性や効率性,危機管理の観点から,広域連携による施設や維持管理の最適化などの検討を行っている。引き続き,協議会において,地域の実情を十分踏まえながら,広域連携の具体化に向けて検討・協議を進めていく。