経営の健全性・効率性について
概ね健全経営を維持している。・水源に恵まれず、県受水に依存していることや、平地が少ないなどの地形的制約から浄水・配水コストがかかるため、給水原価は平均より高い。・基本料金と従量料金の割合を見直し、将来にわたって安心・安全な水道を安定的に給水できる基盤を確立するとともに、老朽施設の更新、管路耐震化事業に必要な財源を確保するため、平成27年1月1日に平均5.5%の料金改定を実施し、経常収支比率、料金回収率とも健全である。(①、⑤、⑥)・施設利用率は、平成23年からの受水開始で全国平均よりも下回ったが、積年の課題であった水不足は解消した。今後、施設能力に適度な余裕を確保した上で(3割程度)、施設規模の適正化を図る。・有収率は、平均以上であり、今後も漏水調査や老朽管更新により維持していく。(⑦、⑧)・「企業債残高対給水収益比率」は、建設改良計画の見直しや借入額の抑制に努め、平均を下回っているが、平成29年度からは簡易水道と統合するため、この比率は上昇する見込みである。・今後計画している老朽施設の更新や管路耐震化事業の財源に、既存の内部留保資金や利益を充当することとし、過度に企業債に頼ることなく事業を実施していく。(③、④)
老朽化の状況について
優先順位を定め、計画的に更新していく。・①有形固定資産減価償却率、②管路経年化率ともほぼ平均並み。・施設・機器は、維持管理基準を設け、適正に点検や修繕を行い、長寿命化を図る。・管路は、サンプル調査の結果に基づき、平均の使用限界年数を鋳鉄管では75年、それ以外は40年とし、計画的に更新を実施している。・病院や地震の際の避難所となる場所へ配水する管路の耐震化を計画に基づき、平成34年度に100%を目指して実施していく。・漏水履歴から更新が必要なものも計画的に更新している。
全体総括
概ね健全な経営状況であると評価している。しかし、人口減少等により水需要が減少する中で、老朽施設・管路の更新や耐震化を実施していかなければならない一方、平成29年度からは国の補助金や一般会計からの繰り入れで収支均衡を保っている簡易水道を統合したことで経営状況は厳しくなる。当市は、平成25年に上水道事業と下水道事業の組織統合を行い、事業ごとに経営戦略を策定していた。しかし、将来にわたり施設の健全性を維持しつつ、収益確保と費用削減に努め、効率的な経営を行っていくことが両事業共通の課題であることから、両事業一体となった経営戦略(中長期経営計画)を平成30年度を目途に策定することとしている。この計画は、施策ごとに数値目標を定め、進捗状況をチェックするとともに、毎年度、決算に基づき目標設計や収支見通しの見直しを行っていく。