経営の健全性・効率性について
本市の簡易水道事業は、平成16年の市町村合併により77か所と国内でも最上位の施設数を有し、その水源や浄水施設など小規模施設の多くが中山間地域に広く点在している。合併時の簡易水道料金はその体系や額に地域間で大きな差が生じていたが、料金統一に向け、平成19年度、22年度、25年度の3年毎に、段階的に料金改定を実施した。更に26年度は消費税率等の改定により料金改定を実施している。しかし、過疎化の進行による給水人口の減少などに伴い、年間総有収水量は22年度をピークに減少傾向にある。現在、29年度の簡易水道の上水道への統合(法適用)を踏まえ、国庫補助を活用し、地方債借入れにより水道施設の更新事業を推し進めており、今後地方債の償還額が増加する見込みである。給水原価に比較し供給単価が相当低い傾向で推移しており、料金回収率は著しく低く、給水に係る費用は料金以外の国庫補助金や一般会計繰入金などの収入に依存している。また、収益的収支比率はやや減少傾向であり100%を大幅に下回っているため、収益増の確保を図るとともに地方債借入額の見直しや経費の縮減などが必要である。なお、有収率は高く推移しているが施設利用率が相当低く、施設の統廃合等を進める必要がある。
老朽化の状況について
簡易水道の統合を踏まえ、優先度が高い施設から整備を行う方針を定め「鳥取市簡易水道施設整備事業計画(H22~H35)」を策定している。現在、水道施設や管路の更新を年次的に実施している。管路は過去30年以内に整備されものが多く、老朽化した水道管が少ないため、管路更新率は相当低くなっている。なお、耐用年数が経過していない管路であっても、点検などにより必要に応じて修繕を実施している。
全体総括
平成27年度及び28年度の財政収支見込みにより、収益の改善及び料金統一を行うため、28年度に平均改定率8.23%の料金改定を実施する。これにより、簡易水道給水区域内の人口減少率は市内全域よりも大きく、年間総有収水量は年次的に減少傾向にある中で、料金回収率は54.9%と類似団体平均程度までの改善を見込む。簡易水道統合に伴う施設整備は今後ピークを迎え、地方債現在高の増加が見込まれることから、経営の健全性などは依然厳しい状況が続く見込みである。このため、更新する施設の統廃合や更新規模のダウンサイジング、地方債借入額の平準化など、更なるコスト縮減に努めるととともに、事業全般にわたり事務事業の見直しなどに最大限に取り組むことが必要である。