経営の健全性・効率性について
平成26年度から3年連続で経常収支比率が100%を超えており、累積欠損金比率も連続して0であることから健全な経営状態にあると言えますが、平成29年度以降は阪神水道企業団からの受水開始により受水費が増加し、経常収支比率の低下や給水原価の増加が予想されます。流動比率が連続で減少しているのは他会計貸付金や資金運用による資金の流出が原因(将来回収される資金)であり、一時的な減少です。類似団体平均と比較して大きく悪化している項目は企業債残高対給水収益比率です。阪神水道企業団からの受水開始(平成29年4月受水開始)に向けて配水管等を整備しているため、平成28年度の企業債残高対給水収益比率は平成27年度と比べて大きく上昇し、類似団体平均を超えています。平成29年度も引き続き整備が予定されていることから、企業債残高対給水収益比率が上昇すると予想されます。また、類似団体平均と比較して管路更新率が低いことから今後は積極的な管路更新が必要であり、それが更に企業債残高対給水収益比率を押し上げる要因となります。企業債の借入利率や資金残高の将来推移を勘案して、借入を抑制することも必要と考えています。
老朽化の状況について
類似団体平均と比較して管路経年化率が高い一方、管路更新率が低いことから、老朽化しているにもかかわらず更新が進んでいない現状にあると考えられます。平成30年度以降に管路の積極的な更新を行いたいと考えています。
全体総括
管路の老朽具合を確認し、更新すべき管路を特定して積極的投資を行う必要があります。しかし、企業債の借入は、企業債残高対給水収益比率が類似団体平均を著しく超えないように抑制すべきです。財源を捻出するために、委託による人件費の抑制や施設の統廃合によるランニングコストの抑制等の経費削減を行い、10年以内に100%以上の料金回収率とすることを目標とします。また、平成29年度から開始する阪神水道企業団からの受水を積極的に活用し、県企業庁からの受水と併せて、適切な水源の確保に努めます。なお、これらの内容も含め、平成28年度以降は新たに策定した「宝塚市水道ビジョン2025」及び「宝塚市水道事業経営戦略」に基づき、管路の更新投資や老朽化対策、経営基盤の強化等に計画的に取り組みます。