経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、単年度の収支が黒字であることを示す100%を上回っているので、経営状況は健全な水準にあるといえますが、類似団体平均値と比較して少し低い値となっています。流動比率は、必要とされる100%を上回っていますが、類似団体平均値と比較して大きく下回っており、支払能力を高めるために経営改善を図る必要があります。企業債残高対給水収益比率は、減少傾向にありますが、類似団体平均値と比較すると高い水準にあることから、健全経営の維持による財源確保を図り、企業債の発行を一定水準に抑制し、企業債残高を減少させる必要があります。料金回収率は、平成26年の会計制度改正以降100%を上回っていますが、類似団体平均値より低い水準にあります。給水原価は、経営の効率化・健全化に向けた取り組みを継続的に実施してきたこともあり、類似団体平均値と比較して低い水準にあります。施設利用率は、水需要の低迷に伴い減少傾向にあり、平成28年度決算において類似団体平均値と同程度の水準まで減少しています。有収率は、類似団体平均値と比べ高い水準にありますが、老朽管の更新改良工事を継続的かつ計画的に実施するなど、現在の水準を維持する必要があります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、平成24年から平成28年までの5年間で42.09%から48.54%と増加しており、平成28年度決算で類似団体を上回りました。今後も増加していくことが見込まれています。管路経年化率は、平成24年から平成28年までの5年間で10.53%から26.93%と大きく増加し、法定耐用年数を経過した水道施設の割合が増加傾向にあることから、水道施設の更新の必要性が高まってきています。管路更新率は横ばいで推移していますが、実使用年数も考慮した管路更新率を設定し、計画的に施設更新を行っていく必要があります。
全体総括
当市の給水人口は、近年微増傾向で推移していましたが、平成28年度決算において減少に転じました。今後も減少することが予測されます。また、給水量についても、節水機器の普及や大口需要者の効率的な水使用の徹底などにより減少傾向にあり、今後も緩やかに減少することが予測されます。一方、管路の経年化率は増加傾向にあり、法定耐用年数を超えた管路が増加してきていることから、今後、多額の更新費用が必要となるなど、厳しい経営環境が続くと予測されます。これらに対応し、将来にわたって持続可能で安全・安心な水道水の安定供給を行うため、引き続き経営戦略に基づいた計画的な施設の耐震化・更新改良に努めていきます。