経営の健全性・効率性について
経常収支比率においては、平成24年度を除き100%を超えているため、収支均衡はとれているが、類似団体及び全国平均と比較すると低い水準にある。また、支払い能力を表す流動比率は約240%と2ヵ年分の債務を賄えるだけの資金は保有しているが、こちらも全国平均よりも低い数値となっている。よって、現時点で累積欠損金は発生していないものの、充分な財源を確保しているとは言えず、安定的な収益を得るための経営改善が必要な状況にある。収入面では、平成27年度に簡易水道事業及び飲料水供給事業を上水道事業に経営統合したため、給水戸数はやや増加したものの、給水人口は減少している。さらに、生活様式の変化や節水意識の定着などにより、給水収益については減少傾向が続いている。また、料金回収率が100%を下回っていることから、給水に係る費用が給水収益以外の収入で賄われている状況にある。施設利用率及び有収率の数値は類似団体及び全国平均をやや上回っているため、施設の有効な利用及び水資源の効率的な運用は、ある程度行われていると考えられるが、昨年度と比べて配水量が減少しており、それに伴い施設利用率も減少している。
老朽化の状況について
水道施設については老朽化が進んでいるため、有形固定資産減価償却率が類似団体及び全国平均と比較して高い状況にある。また、法定耐用年数を経過した管路は年々増加傾向にあり、更新の必要性が高まっている。管路更新率は、類似団体及び全国平均の平均値こそ上回っているが、平成27年度の数値を基に分析をすると、すべての管路を更新するのに約103年を要する状況となっている。石綿セメント管や鉛製給水管を含む老朽管については、改良工事や下水道工事に伴う移設等で更新・耐震化を積極的に進めている。
全体総括
平成10年度の料金改定以降、給水収益は年々減少している。その中で、企業債残高対給水収益比率が平成27年度にやや増加しているが、類似団体及び全国平均と比較すると低い数値となっている。これは、企業債の借入れを抑え、管路その他の水道施設の耐震化等、必要な更新への投資を先送りするなど収支均衡を優先とした事業運営によるものであると考えられる。水道水の安定的な供給には、強靭な施設整備が不可欠であり、老朽化・耐震化対策は早急に取り組む必要がある。平成26年度から浄水・配水施設の更新・耐震化事業に着手し、平成28年度からは自己水源の約75%を占める宇治浄水場の更新・耐震化事業を予定しており、水道施設老朽化は解消していく見込みである。一方で財政面では、基幹施設である宇治浄水場をはじめ各水道施設の更新・耐震化費用や、平成28年度からの京都府営水道の料金増額改定を受け、収支の悪化が予測される。こういった事態を解消するための必要な財源確保に向けた取り組みとして、平成28年度より平均14.4%の料金改定を実施した。