経営の健全性・効率性について
経常収支比率において、平成24年度以外は100%以上の水準を保っており、累積欠損金比率についても毎年度0%を計上しているため、一定の収支均衡は保たれていると考える。しかし給水人口の減少、節水意識の高まり、節水機器の普及などにより、給水収益は年々減少し、料金回収率が全国平均より低く100%を下回っていることから、給水にかかる費用が給水収益だけで賄われていない状況である。資金面においては、流動比率が100%を超えているため、1年以内に支払わなければならない負債を賄えるだけの資金は有しているが、全国平均よりも低い数値となっていることから、余裕のある状況とはいえない。また、施設利用率及び有収率に関して全国平均を上回っており、有効利用されているといえる。
老朽化の状況について
宇治市の水道施設は老朽化が進んでおり、有形固定資産減価償却率は全国平均と比較して高い状況にある。また、法定耐用年数を経過した水道施設は増加傾向にあり、更新の必要性が高まっている。さらに、管路についても老朽化が進んでいることから、徐々に更新を行っているところである。
全体総括
宇治市においては、平成10年度の料金改定以降、水需要の減少に伴い給水収益は年々減少している。その中で、有形固定資産償却率が高いものの経常収支比率が悪化していない現状は、管路・施設の必要な更新・耐震化への投資の先送りなど、収支均衡を優先とした事業運営によるものと考えられる。水道水の安定的な供給には、老朽化・耐震化対策は早急な対応が必要であるため、平成28年度には自己水源の約75%を占める宇治浄水場の更新・耐震化事業を予定しており、水道施設老朽化を解消していくこととしている。水道施設の更新・耐震化事業を本格化させることや、平成28年度から京都府営水道の受水費が増額改定されることを受け、これらに対応する財源確保に向けた取り組みとして、平成28年度より平均14.4%の料金改定を実施する。