経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、平成27年度に実施した料金改定や建設改良計画に基づいて適切な時期に事業を実施することで費用の抑制を図る等、様々な経費削減努力により、平成28年度以降は改善が見られます。②累積欠損金比率は、将来の費用負担軽減のために利水撤退したダムに係る減損損失等により、平成26年度までに多額の欠損金が生じました。平成27年度実施の料金改定、効率的な資金運用等による収入の増加や更なる経費削減努力により、平成28年度以降はゆるやかに改善しています。③流動比率は、毎年度企業債償還金が増加していることやダム割賦負担金の支払期間23年とダム使用権の減価償却期間55年とに差が生じていることにより類似団体平均よりも低くなっています。資金余力が低いため、ダム割賦負担金の返済が終了する平成33年度までは、資金繰りに細心の注意が必要な状況が続きます。④企業債残高は、管路や施設の更新を実施する財源として企業債を借り入れているため、類似団体平均よりも高くなっています。引き続き、ダム割賦負担金の繰上償還や企業債の借入額の抑制に努めます。⑤料金回収率は、以前は100%を下回っていますが、平成27年度実施の料金改定により、平成29年度に100%を超えました。次期料金改定に向けて持続可能な事業運営のために、必要な更新投資等に係る財源を確保するための方策について検討していきます。⑥過去の水源開発に伴う負担額が大きかったことにより、給水原価が類似団体平均よりも高くなっていますが、様々な経費削減努力により改善傾向にあります。⑦施設利用率は類似団体平均を上回り、⑧有収率も良好な水準となっており施設を効率的に稼働させています。今後、水需要予測を基に、府営水道と受水市町全体のアセットマネジメントを実施し、適正な施設規模について検討していきます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、老朽化施設を計画的に更新しているため類似団体平均よりも低くなっていますが、水道施設や管路の老朽化が進んでおり、償却率は上昇傾向にあります。現在、宇治系送水管路更新・耐震化事業を平成34年度の完了に向けて進めており、完了すると②管路経年化率や③管路更新率に反映される見込みです。③管路更新率は、老朽化が進む宇治系送水管路の更新について、現在、集中的に取り組んでいるところであり、木津系・乙訓系についても今後計画的に進めることとしています。
全体総括
府営水道は、施設利用率や有収率は良好な水準となっていますが、流動比率や企業債残高対給水収益比率等の財務指標においては類似団体平均を下回る状況です。経営上の主な課題は、資金余力が低く、資金繰りが苦しい状況が続いていることです。将来に向けたより充実した指針とするため、「京都府営水道ビジョン」を平成30年3月に中間改訂を行い、これに基づき事業を推進しています。また、過去5年間の経営分析と5年間の収支計画等を取りまとめた「京都府営水道経営レポート」を平成28年3月に策定し、この中で経営改善の取組として繰越欠損金の削減、有利子負債残高の削減、資金残高の確保に努めることとしています。府営水道の経営状況や取組については、毎年、経営審議会において検証することとし、将来を見据えた安定した経営に繋げ、安心・安全な給水体制の確保と効率的な運営に努めています。