経営の健全性・効率性について
平成29年度は水道事業に簡易水道事業を統合したため、ほとんどの指標において前年度と比較して経営の悪化を示す結果となった。企業債残高対給水収益比率にあっては、平成28年度と比較して企業債残高が約37.85億円増加したのに対し、給水収益が約0.86億円の増加であったため類似団体平均値と同程度となり、指標が大きく悪化した。料金回収率についても100%以上が望ましい指標であるが、給水収益で給水に係る費用が賄えていないことを示す100%未満となった。有収率についても類似団体平均値と比較して下回っていることから、老朽化への対応の遅れから収益につながらない地下漏水が多く発生しているものと考える。また、給水原価、施設利用率からは広い市域へ給水を行う本市において効率的な給水は難しいものの、施設統合やダウンサイジングの検討を行い効率的な供給に努める必要がある。※グラフ中『1.経営の健全性・効率性』の①②③⑤⑥及び『2.老朽化の状況』の①については、平成26年度より改定された地方公営企業会計基準を適用して財務諸表を作成していることから、平成25年度以前とは算定方法が異なり、単純な比較はできない。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、管路経年化率は類似団体平均を上回っており管路等の更新が遅れていることが読み取れる。また、管路更新率についても類似団体平均値を下回っており、管路更新が更に遅れていくことになる。第2次津市水道事業基本計画の目標とする更新基準(管路約80年)を達成するため管路更新率を1.25%まで引き上げる必要がある。
全体総括
前年度と比較して各指標が悪化を示す結果となっており、人口減少による料金収入の減少は今後も進行し、経営は厳しさを増すと考える。経営改善に向けた取組みとして、更なる費用縮減の努力は必須であるが、老朽化施設の更新財源が必要であり、費用縮減のみで財源を確保することは難しいため、水道料金の見直しは避けて通れない時期に来ている。また、有収率や老朽化の状況から類似団体と比較し管路更新が遅れていることから、これまでの約2.5倍の管路更新率を達成する必要があり、事業量に対応できる人員の確保が課題である。