経営の健全性・効率性について
【経営の健全性】①経常収支比率及び⑤料金回収率は平成27年度で100%を超えており、健全な事業運営ができていると言えます。また、前年度及び平均値と比較して低い数値となっていますが、平成27年度は東海ポンプ場の配水池取り壊しによる多額の資産減耗費を計上しており、その数値の低下は一時的なものと考えています。③流動比率は200%を超えており、短期的な債務に対する支払能力が十分にあると言えますが、平均値を下回っており、近年減少傾向にあります。配水池等の配水施設更新により、預金残高が減少し、未払金が増加しているためで、今後も減少傾向が続くと予想されます。【経営の効率性】⑦施設利用率は60%前後で、平均値と比較して2%程度低い数値となっています。数値が高いほど効率的な施設利用ができているといえますが、100%に近くなると、需要に対し施設能力が追いついておらず安定供給の面で問題があることになります。水道事業は季節により需要変動があり、配水量がピークになる夏場に配水量不足とならない施設能力が必要となるため、効率性を評価するためには、一日配水能力に対する一日最大配水量の割合である最大稼働率も参考にしなければなりません。平成27年度の一日配水能力は58,300m3、一日最大配水量は39,105m3で、最大稼働率は67.08%となっており、この10年間では65~70%前後で推移してることから、ほぼ適切な施設規模であると言えます。⑧有収率は92%以上を維持しており、平均値と比較しても高い数値となっているため、施設の稼働状況が十分に収益に反映されていると言えます。また、平成27年度から3カ年計画で、市内配水区全域の水道本管及び宅地内への引き込み管の漏水調査を行っており、その成果が数値に現れ始めていることがわかります。
老朽化の状況について
【老朽化の状況】②管路経年化率は平成27年度で7.64%と、平均値と比較しても低い数値となっており、比較的、法定耐用年数を経過した管路は少なく、早急に更新が必要な経年管路が少ないことがわかります。また、③管路更新率は、年によって数値の変動がありますが、平成22年度から平成31年度までの10年間を計画期間とする管路更新計画及び平成29年度策定予定の管路耐震化計画に基づき、計画的な更新事業を行っていきます。さらに平成27年度から、過去に採用されてきた配水管に比べより長期寿命を持つGX形ダクタイル鋳鉄管及び配水用ポリエチレン管を本格的に採用し、配水管路の長寿命化による更新周期の延長を図っています。
全体総括
今後、配水管、ポンプ場等の配水施設の老朽化による更新及び耐震化事業によって多額の費用が見込まれています。その主な財源となる給水収益は、太田川駅周辺区画整理事業等に伴い給水人口が増加傾向にある一方、節水型機器の高性能化等により一日一人平均給水量が減少しており、近年ほぼ横ばいとなっています。将来的には、人口減少社会の影響によって給水人口の増加率は徐々に鈍化し、給水収益の減少に伴い厳しい事業運営を強いられることが予想されています。この厳しい将来見据えて、長期的な計画によって事業の安定性や持続性を示すため、平成32年度までに水道事業ビジョン及び経営戦略を策定し、健全、効率的な事業運営に努めていく必要があります。