経営の健全性・効率性について
【経営の健全性】経常収支比率及び料金回収率は、平成26年度で100%を超え、類似団体の平均値と同程度の数値となっています。このことから経常費用が経常収益により賄え、また給水に係る費用が給水収益により賄えており、健全な事業運営ができていると言えます。給水収益に影響する給水人口は、太田川駅周辺区画整理事業等に伴い増加傾向にある一方、一日一人平均給水量が減少しており、給水収益は減少傾向にあります。将来的には、人口減少社会の影響により給水人口の増加率は徐々に鈍化し、さらなる給水収益の減少により厳しい事業運営を強いられることが予想されています。【経営の効率性】施設利用率は60%前後で、平均値と比較して2%程度低い数値となっています。施設利用率は数値が高いほど効率的な施設利用ができているといえますが、100%に近い数値になると、需要に対し施設能力が追いついておらず水道の安定供給の面で問題があることになります。水道事業は季節により需要変動があり、配水量がピークになる夏場に配水量不足とならない施設能力が必要となるため、経営の効率性を評価するためには、一日配水能力に対する一日最大配水量の割合である最大稼働率も参考にしなければなりません。平成26年度の一日配水能力は58,300、一日最大配水量は38,270で、最大稼働率は65.6%となっており、この10年間では65~70%前後で推移してることから、ほぼ適切な施設規模であるといえます。有収率は92%以上を維持しており、平均値と比較しても高い数値となっているため、施設の稼働状況が十分に収益に反映されているといえます。しかしながら、この5年間で1.39%低下しており、その要因は配水管工事に伴う洗管作業や、配水管の老朽化による漏水等によるものと推測されます。
老朽化の状況について
【老朽化の状況】管路経年化率は6.93%で、平均値と比較しても低い数値となっており、法定耐用年数を経過した管路は比較的少なく、早急に更新が必要な経年管路が少ないことがわかります。また、管路更新率は、0.24%と低い数値になっていますが、平成22年度から平成31年度までの10年間を計画期間とする管路更新計画、及び平成29年度策定予定の管路耐震化計画に基づき、計画的な更新事業を行っていきます。さらに配水管の耐震化更新事業の中で、今まで採用されてきた管路に比べ長期的な寿命を持つGX形ダクタイル鋳鉄管、及び配水用ポリエチレン管を平成27年度から本格的に採用し、配水施設の長寿命化による更新周期の延長を図っています。
全体総括
経営の健全性の面では、給水収益の確保、及び費用の削減等の経営改善を行い、経常収支比率及び料金回収率を保つことで、健全な事業運営を継続していく必要があります。経営の効率性の面では、将来的に減少が予想される水需要をしっかりと見極めながらも、安定供給を大前提にその需要に見合った施設の配置を検討していく必要があります。また漏水対策事業として、管路更新計画、及び管路耐震化計画に基づく漏水対策配水管布設替工事に加え、平成27年度から3カ年計画で市内配水区全域の漏水調査を実施し、老朽化し漏水している配水管の修繕等を行うことで安定供給と低下傾向にある有収率の向上を図っていきます。