経営の健全性・効率性について
①②③⑤⑧の令和元年度各指標値は、全国平均値および類似団体平均値よりも望ましい値となりました。④⑤⑥の指標を組み合わせることで、料金水準の観点から④の指標値を分析することができます。まず⑥給水原価については、小牧市の値は全国平均値、および類似団体平均値を下回っています。ただし、令和元年度は修繕費が増加したことで経常費用が増加したため、値は若干上昇しています。⑤料金回収率に関しては、小牧市の値は全国平均値、および類似団体平均値を上回っています。ただし、令和元年度は修繕費が増加したことで経常費用が増加したため、値は若干下降しています。この2点から、小牧市は他団体より少ない費用で給水を実現し、かつその費用を賄うことができていると判断できます。加えて、企業債残高も減少していることから、料金水準の観点から④の企業債残高対給水収益比率を分析すると、健全な状態にあると判断できます。⑦と⑧の指標を組み合わせることで、施設の収益性という観点から⑦の指標値を分析することができます。⑦施設利用率は、施設の利用状況や適正規模を判断する指標で、一般的には高い数値であることが望まれます。小牧市の値は全国平均値および類似団体平均値を上回っており、施設の利用状況は高い水準にあります。ただしその収益性を分析するためには⑧有収率も併せて考える必要があります。具体的には、⑦施設利用率が高い水準の場合でも、⑧有収率が低い場合には、施設稼動が収益に繋がっていない状態にあると言えます。小牧市の場合には、⑧有収率も全国平均値および類似団体平均値より優れた値を示しています。よって、小牧市の施設の収益性は高いと判断できます。
老朽化の状況について
①②の令和元年度各指標値は、全国平均値および類似団体平均値を上回る値でした。過去実績でも、類似団体平均値を上回る値が続いています。③管路更新率については、全国平均値および類似団体平均値を若干上回る数値でした。この要因については、配水管の管路更新工事数の増加と考えられます。②と③の指標を組み合わせることで、管路の更新投資の必要性を判断できます。②管路経年化率からは他団体よりも老朽化が進行していることが分かります。③管路更新率については、平成30年度においては他団体と比べて管路更新が進まなかったものの、令和元年度については望ましい方向へ改善されたことが分かります。今後、もし平成30年度のような状況が続くようであれば、管路更新に関する投資額の増加が必要です。また①の指標値から分かるように、管路以外の有形固定資産についても更新等の必要性が高い施設を見極め、財源の確保を進めていく必要があります。
全体総括
経営の健全性・効率性の指標について、早急な改善を要するものはありません。ただし、今後は有収水量の減少など厳しい経営状況となることが予想されるため、現状分析と各指標の改善が求められます。老朽化の状況の指標については、老朽化の進行を示しています。管路更新率の令和元年度数値は改善しましたが、この0.75%という値では、全管路の更新に約134年を要するため楽観視はできません。小牧市水道事業は、①経常収支比率については良好な状態ですが、管路などの老朽化は進んでいることが分かります。今後、管路および施設の更新に注力する場合には、①経常収支比率が悪化する可能性が高まります。一方、必要な更新投資の先送りについても注視する必要があります。そこで中長期にわたる施設の更新需要の見極めや、将来にわたる財政収支見通しに基づき、更なる経営の健全化、効率化を目指すため、令和元年度に経営戦略を策定しました。今後は5年程度の期間で必要に応じて計画の見直しを予定しています。