経営の健全性・効率性について
平成29年度は給水収益が微増したものの、北部浄水場ほか監視システム更新工事等により資産減耗費等の営業費用が増加し①経常収支比率が0.98ポイント低下しましたが、類似団体や全国平均値と比べても良好な数値となっており、安定した経営が行われています。老朽管布設替工事等の増加に伴い、配水及び給水費や資産減耗費が増加し⑥給水原価が微増しましたが、類似団体や全国平均値よりも低く抑えつつ⑤料金回収率は100%を上回っており、給水に係る費用が給水収益で賄われています。⑧有収率や⑦施設利用率は類似団体や全国平均値を上回っており、このことが収益に反映されたものと考えられます。近年、新たに企業債を借り入れておらず、④企業債残高対給水収益比率は類似団体や全国平均値と比べても毎年低いものとなっています。また、平成26年度には会計制度変更により一時的に③流動比率は低下したものの、平成27年度以降平成25年度程度にまで回復し、類似団体や全国平均値を上回っています。現状では短期的な資金負担に対する懸念はないものの、長期的には施設・管路更新に多額の費用が見込まれるため楽観視はできません。
老朽化の状況について
定期的に設備の更新を行っており、①有形固定資産減価償却率は類似団体や全国平均値よりも低く抑えられています。③管路更新率は年々低下していましたが、平成29年度は老朽管布設替工事等を多く行ったため1.03%に増加しました。②管路経年化率は平均値を下回ってはいるものの上昇傾向であり、今後も管路の計画的な更新に取り組む必要があります。管路の更新にあたっては、実質的な使用可能年数に基づいて更新時期を定め、老朽化した管路の計画的な更新を図っていきます。
全体総括
平成29年度は前年度に比べ経費が微増したものの、全国的な傾向である給水収益の落ち込みは見られず、財務バランスは健全な状態です。しかし、管路経年化率は毎年上昇し続けており、引き続き施設・管路更新に多額の費用が見込まれるため、次年度以降も投資額の増大は避けられない見通しです。また、収入面では節水機器の普及や大口需要者による地下水等への転換に加え、将来的には給水人口の減少により給水収益減が予想されます。新水道ビジョン(平成29年度策定)で定めた施策目標の達成と適切な事業運営を継続していくため、平成30年度に経営戦略を策定する予定です。将来を見据え、今後も直営業務の委託化や施設のダウンサイジングなど様々な経費削減策や収入面の補強策について検討し、効率的な企業経営と積極的な投資を進めていく必要があります。