経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、給水収益の増加により向上しました。給水収益の増加は、大口需要家の使用があったことが主因であり、一時的なものと考えられます。今後の給水収益は、人口減少や節水機器の普及により、減少することが予想されます。厳しい事業環境が続く中、収支のバランスを今後も注視していく必要があります。欠損金は発生していないため、②累積欠損金比率は0.00%となっています。③流動比率は、現金が増加したことに加え、未払金を中心に流動負債が減少したことにより、類似団体を上回る値に改善されました。④企業債残高給水収益比率は、新規の借入れを行っていないことから、毎期、減少しており、類似団体と比して良好な値を継続しています。⑤料金回収率、⑥給水原価はいずれも健全な値で推移しています。⑥給水原価からは、費用を抑えて水道水の供給ができていることが読み取れ、⑤料金回収率からは、水道供給にかかった費用を適切に料金として回収できていることが読み取れます。⑦施設利用率は類似団体よりも高い数値を示しており、限られた施設を有効に活用していることを表しています。⑧有収率は昨年に比べて1.02%の減少。類似団体平均値よりも1.23%低い値となっています。水質を維持、管理するためには管末において一定程度の放水が必要であるものの、漏水の早期発見や老朽管の更新に努め、有収率の向上を図る必要があります。
老朽化の状況について
管路総延長約750kmのうち高級鋳鉄管、塩ビ管などの老朽管が平成13年度末時点では約130kmありましたが、年間約5km更新して現在では約50kmになっています。石綿管は、平成13年度までに布設替えがほぼ完了しています。平成27年度は③管路更新率が高かったため、②管路経年化率が一時的に下がったものの、毎年40年を経過するダクタイル鋳鉄管(A形)が更新延長を上回る傾向にあるため、②管路経年化率は平成28年度は再び上昇しています。しかし、ダクタイル鋳鉄管の更新基準年数は一般的に40年以上に設定されていることから、実際の老朽化比率はこれほど上昇していないものと判断されます。①有形固定資産減価償却率は、平成14年度から管路更新事業量が増えたものの②管路経年化率の増加に伴って、年々増加傾向にあります。
全体総括
「1.経営の健全性・効率性」の各指標は、有収率を除くと、類似団体平均よりも健全な値を示しています。また、「2.老朽化の状況」の各指標も、類似団体平均と概ね同程度以上の値を示しています。各指標からは、顕著な問題点は挙げられませんが、今後の給水収益の減少や施設・管路の老朽化による更新費用の増大は、全国の水道事業に共通した避けられない問題です。今後、水需要の縮小に応じた施設のダウンサイジング・廃止を含めた効率的な施設更新、必要な経費を賄うための給水収益のあり方の検討が求められます。そのためには、現在、策定中である水道事業経営戦略(平成30年度完成予定)を軸に、事業運営における中長期的な視野を持つことが必要となります。