経営の健全性・効率性について
過去5年間の①経常収支比率は100%を超えた健全な水準で推移しており、黒字経営を維持していますが、料金収入は減少傾向にあり、現在の水準を維持するためには更なる経営改善を進め、より健全で効率的な経営に取り組む必要があります。③流動比率は、類似団体平均値より若干低いものの、流動資産の約95%が現預金であり、有事の際への備えとしての一定程度の現預金が保持できています。また、平成18年度以降、企業債による借り入れを行っていないため、④企業債残高対給水収益比率は毎期、減少し、健全な数値を示しています。⑤料金回収率と⑥給水原価は、類似団体平均値よりも優位な数値を示し、給水に必要な費用を料金収入で賄い、適切な料金回収ができています。⑦施設利用率については、類似団体平均値と比較して高い水準となっており、施設の能力を効率的に活用し、適正規模であることを示しています。一方、⑧有収率は平成27年度において類似団体平均値を下回っており、計画的な管路更新や漏水等への対策を進めていく必要があります。
老朽化の状況について
管路総延長約740kmのうち高級鋳鉄管、塩ビ管などの老朽管が平成13年度末時点では約130kmありましたが、年間5~6km更新して現在では約52kmになっています。石綿管は、平成13年度までに布設替えがほぼ完了しています。平成27年度は③管路更新率が高かったため、②管路経年化率が一時的に下がったものの、毎年40年を経過するダクタイル鋳鉄管(A形)が更新延長を上回る傾向にあるため、②管路経年化率は再び上昇するものと考えます。しかし、ダクタイル鋳鉄管の更新基準年数は一般的に40年以上に設定されていることから、実際の老朽化比率はこれほど上昇していないものと判断されます。①有形固定資産減価償却率は、平成14年度から管路更新事業量が増えたものの、年々増加傾向にあります。
全体総括
経営の健全性・効率性に係る指標については概ね良好であり、現在のところ健全な経営が行われていますが、給水収益の減少傾向は継続しており、節水機器の更なる普及や近い将来の人口減少等により、今後の経営環境はこれまで以上に厳しくなることが予想されます。また、施設や管路の老朽化が進み、改良・更新が必要となっていることから、今後の投資に係る財源確保を図る必要があります。健全経営を維持しつつ、懸案の課題に的確に対応するため、将来の更新計画や財政支出を明らかにし、安全で安価な水を安定して利用できる快適な市民生活が効率的に実現できるよう、投資と財政のバランスを考慮し、中長期的視野に立った水道事業の経営に努めます。