経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、平成26年に改善。類似団体平均値よりも健全な数値を示しています。改善の主因は、公会計制度の改正に伴い、非現金収入である、長期前受金戻入が増加したことです。給水量の減少から、営業収益は減少しているため、収支のバランスを今後も注視していく必要があります。③流動比率は、類似団体平均値と同程度。流動資産の約94%は現預金であり、有事の際への備えとしての一定程度の現預金が保持できています。配水区域の拡張事業を終え、平成18年度以降は新規の企業債借入れをしていないため、④企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値と比して健全な数値を示しています。今後、施設の老朽化が進み、更新需要が高まる中、当事業体の資産規模に適した企業債残高を見極めるとともに、起債が必要であっても、償還金や支払利息による営業への影響を考慮し、最小限の起債とするべきと考えます。給水に係る費用が、どの程度給水収益で賄えているかを示す、⑤料金回収率は、公会計制度の改正が行われたことにより、平成26年度に向上。また、同じく改正により、⑥給水原価も減少。事業に係る費用を抑えた上で、適切な料金回収が出来ていることを示しています。⑦施設利用率、⑧有収率についても、類似団体平均値を上回る数値を示しており、効率の良い経営がなされていると言えます。
老朽化の状況について
管路総延長約740kmのうち高級鋳鉄管、塩ビ管などの老朽管が平成14年度時点では約130kmありましたが、年間5~6km更新して現在では約55kmになっています。石綿管は、平成13年度までに布設替えがほぼ完了しています。毎年40年を経過するダクタイル鋳鉄管(A形)が更新延長を上回ってしまうため、②管路経年化率が上昇しています。しかし、ダクタイル鋳鉄管の更新基準年数は一般的に40年以上に設定されていることから、実際の老朽化比率はこれほど上昇していないものと判断されます。①有形固定資産減価償却率は、平成14年度から管路更新事業量が増えたものの②管路経年化率の増加に伴って、年々増加傾向にあります。
全体総括
「1.経営の健全性・効率性」の③流動比率が類似団体平均と同程度の数値、他の数値は類似団体平均よりも良好な値であり、概ね健全・効率的な経営が出来ていると言えます。現在は、良好な水道事業経営ですが、今後は、収益の減少(既に始まっている人口減少や節水機器の普及による)に加え、費用の増加(浄水施設や配水管等の大量更新時期の到来による)が見込まれており、より厳しい経営環境となることが予想されます。安心・安全な水を安価で供給し続けるためには、現在策定中である施設更新計画を軸に、中長期的な視野に立ち、コストの削減や分散化を行い、必要に応じて施設のダウンサイジングや廃止も含め、効率化を徹底した経営をすることが求められます。