経営の健全性・効率性について
経常収支比率が100%を超え、累積欠損比率が0%であること、加えて料金回収率が100%を超えていることから経営の健全性は保たれていると考えられる。流動比率は、平成26年度の会計基準見直しによる借入資本金制度の廃止に伴い、1年以内に償還する企業債が流動負債へ計上されたことで極端に減少したものの、平成26年度以降は短期支払能力の目安である100%を大きく上回っている。企業債残高対給水収益比率は、企業債の償還額を上限として借入を行っているため、ほぼ横ばいであるが、必要な更新を行いつつ、適正な料金収入を維持する必要がある。給水原価は、減価償却費と支払利息の減により減少傾向にあるが、施設の老朽化が進む中、平成28年度は維持管理費の増加により上昇しており、今後も更新による給水原価の上昇が考えられる。施設利用率は、人口減少や節水機器の普及等の社会情勢の変化により、給水人口について、計画値と現状にかい離が発生し、50%台を推移しており、配水能力に余剰が生じている。有収率は84%程度で推移しており、類似団体平均値より低い水準にある。この主な原因は管路の老朽化に伴う漏水によるものと推定されており、漏水を解消することが必要となっている。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、みなし償却制度廃止に伴い、平成26年度から増加し、平成28年度では約48%を占めるまでになった。また、管路経年化率も法定耐用年数を超える管路延長が増加していることから増加傾向にある。管路更新率は類似団体平均値と比較して低水準であるが、管路の更新は老朽化の進行度合に応じて計画的に実施している。
全体総括
現状は総じて健全経営を維持しているが、今後、人口減少による料金収入の減少、老朽化の進んだ施設の更新費用、修繕費用の増加が見込まれる。老朽化の進んだ施設については、アセットマネジメント等に基づき計画的に更新を進めていく。配水能力に余剰が生じている施設については、施設の廃止、統合、合理化等を行い、規模の適正化を図っていく。有収率の低さについては、漏水が主な原因と推定されることから、漏水調査を実施し、漏水箇所の補修・更新を継続的に実施することで有収率の向上に努める。