経営の健全性・効率性について
小規模集合排水処理事業は、生活環境の改善及び公共用水域の水質保全を図るため、旧豊野町にて整備し、平成10年度から供用開始しました。本市が行う下水道事業の一本化を図るため、平成21年度に公営企業法を適用し、上下水道局が経営する公共下水道事業等と統合しました。小規模集合排水処理事業における使用料収入は、人口減少に伴う汚水排除量の減少により年々減少し、今後も増加が見込めないため、経常収支は更に厳しいものになります。また、維持管理費も使用料収入で賄えていないため、今後も赤字が続く見込みです。これに伴い累積欠損金比率は上昇しますが、公共下水道事業の利益により欠損金を補填しており、下水道事業会計としては累積欠損金はありません。企業債残高対事業規模比率は、地理的要因等により整備費用が大きい上、使用料は他の下水道事業と格差を設けていないため、類似団体と比較しても高い水準にありますが、建設整備は完了しているため、残高は年々減少しています。平成30年度は、年間使用料収入の5倍程度の修繕を行ったことから、収益の悪化により「①経常収支比率」及び「②累積欠損比率」と、汚水処理費の増加により「⑤経費回収率」及び「⑥汚水処理原価」と、現金預金の減少により「③流動比率」に大きな変動がありました。ただし、この修繕費は下水道事業全体費用の0.1%に満たない程度であり、全体事業の経営に影響を与えるものではありません。収益性が著しく低く、経営が困難な状況にありますが、下水道事業全体として包括的な経営を行っています。
老朽化の状況について
施設及び管渠の建設は完了しているため、現在は維持管理経費の節減を図りながら今後の更新に備え、施設の統廃合や更なる効率的な運用を検討しています。①有形固定資産減価償却率:資産の老朽化度を表す指標で、整備完了後は経年により増加するものです。平均値が減少しているため、整備や更新を行っている団体があることが推測され、単純比較が難しい状況です。②管渠老朽化率:法定耐用年数を経過した管渠はありません。③管渠改善率:法定耐用年数を経過した管渠がないため、更新実績はありません。
全体総括
公共下水道事業等との統合により、下水道事業全体として経営しているため、本事業単独の指標をもって経営状況を判断することは困難です。市内における下水道使用者の負担の公平を図るため、他事業と同じ料金体系を採用していることにより、採算性は低い状況にあります。人口減少に伴う汚水排除量の減少により使用料収入は年々減少するとともに、施設の更新に対する財源が不足する等、経営を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあります。処理施設及び管渠は比較的新しい状況にありますが、今後は徹底した維持管理費の削減と施設の長寿命化等による投資の抑制により、下水道事業全体として安定した経営が持続できるよう努めていきます。