経営の健全性・効率性について
両事業とも、今後の老朽化対策等の投資増加に備えて、効率的な維持管理や適切な料金設定により、経営の安定と資金確保に努めている。そのため、経常収支比率および料金回収率は、平成18年に給水開始した日野川地区水道用水供給事業においても、坂井地区水道用水供給事業と同様、25年度から契約水量の全量を供給し給水収益を安定的に確保しているため、25年度から大きく増加するとともに、類似団体の平均値を上回っており、今後の更新費用についても料金により確保できる見込みである。また、工事に伴い未払金が多く発生したことや、26年度の会計制度見直しにより企業債が流動負債に計上されたことなどから、流動負債が増え、流動比率は低下しているが、現金預金残高は増加しており、今後も引き続き効率的な経営に取り組んでいく。なお、未払金については3月末の工事完了、4月に支払いを終えている。企業債については高金利債を繰上償還するなど順調に償還しており、残高は減少し、企業債残高対給水収益比率は順調に推移している。その他、効率性を示す給水原価や施設利用率等も、良好な数字を維持している。
老朽化の状況について
坂井地区水道用水供給事業については給水開始から30年、日野川地区水道用水供給事業については、給水開始から10年近く経過した施設であるため、2事業合算でみると、有形固定資産減価償却率および管路経年化率とも類似団体平均値に比べ低く、施設の老朽化の度合は高くない。老朽化対策については、機能維持や安全性確保のため、点検・診断・修繕・更新等のメンテナンスサイクルにより、長寿命化や設備投資の抑制など、中長期的な視点で計画的に進めている。今後策定予定の経営戦略において、計画的かつ効率的な更新計画を設定し、老朽化対策に取り組んでいく。
全体総括
両事業とも契約水量全量を確実に供給しており、現在の経営状況は概ね健全で、効率的な経営を行っていると判断できる。今後、両事業とも構築物や管路等の維持修繕、設備の更新需要が増大することが見込まれるほか、坂井地区水道用水供給事業については耐震化も必要となっている。そのため、これらに見合う料金収入の確保および経費節減に努め、より一層経営の健全化・効率化に努めていく必要がある。