経営の健全性・効率性について
経常収支は黒字で全体として健全性を確保しているものの、料金回収率と共に類似団体平均よりも低い水準にあります。これは主に固定費用である受水費が費用全体の約40%を占め、経常費用及び給水原価を押し上げていることに起因します。数値の改善には費用を下げるか、収益を上げるかしかありませんが、料金については平成23年度改定で隣接地域である東京都水道局とほぼ同水準としており、これ以上の値上げは水道利用者の理解を得にくいと考えています。また費用についても固定費用が多く、更に今後は修繕費が嵩むことが予想され、大幅な圧縮は困難です。それでもこれ以上の悪化を防ぐため、少しずつでも費用の圧縮に努める必要があります。また流動比率を上げ、保有現金の残高を増やすためには、積極的な補助金や企業債の活用、あるいはより有利な条件での資金運用を検討する必要があります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は上昇傾向にありますが、管路経年化率は微減傾向にあります。これは「配水補助管(40㎜以下)更新計画」に基づき耐震性に劣る古い管路の更新を行っていることにより、耐用年数を迎えた管路について一定のペースで更新できていることの表れと言えます。一方で管路以外の施設については「施設整備保全計画」に基づき整備及び更新を図ってはいますが、更新投資のペースが減価償却に追い付いていないとも言えます。
全体総括
経営状態の健全性の維持及び改善の方策としては、当面は料金改定には頼らず、経営努力による費用圧縮及び資金確保に主眼を置きます。人件費及び物件費の上昇を抑制し、また積極的に補助金や企業債を活用し、資金を確保することにより、老朽化施設の更新財源としていきます。また、将来にわたって、平時のみならず災害時や事故発生時においても水道水を安定して供給できるよう、早期に東京都営水道との一元化を図ります。