経営の健全性・効率性について
(経営の健全性)経常収支比率は100%を上回るため、健全な経営が行われている。なお、料金改定や水資源機構割賦負担金(以下「割賦負担金」という。)等の繰上償還により、累積欠損金は平成27年度に解消した。また、流動比率も平成26年度以降、大幅に減少したが、依然、平均値を上回っており、経営の健全性は保たれている。(債務残高)企業債残高対給水収益比率は平均値より低いが、企業債以外の債務である割賦負担金残高を含んで算出した場合は、決して低く(H27:262.93%)はない。近年、企業債や割賦負担金の償還の進展により負債は圧縮されつつあるが、債務負担が比較的重いことが課題である。(料金水準)料金回収率は、平均値を下回るものの、100%を上回るため、効率的な経営が行われている。(費用・施設等の効率性)水源を利根川等の遠方に求めていることから、導水管等の大規模な資産を保有せざるを得ず、減価償却費等の費用も掛かるため、給水原価が非常に割高になっている。施設利用率は、平成23年度に水源の1つを廃止したため、平成24年度以降は平均値を上回り、改善している。
老朽化の状況について
給水開始年度(平成8年度)が比較的最近であることから、法定耐用年数を経過した管路はなく、施設の老朽化はそれほど進んでいない。なお、有形固定資産減価償却率の平成26年度以降の指標が増加したのは、会計基準の見直しに伴い、補助金等により取得した固定資産をその取得価額から補助金等相当額を控除した額を帳簿価額とみなして、減価償却額を算出することができる「みなし償却制度」が廃止されたことにより、その移行処理で有形固定資産減価償却累計額が増加したことによる。
全体総括
経営の健全性は保たれているが、給水原価は平均に対し約3倍高く、喫緊の課題である。今後、近隣事業体との統合・広域化も含め、更なる事業の効率化を図る必要がある。債務残高は、将来の更新投資に伴う資金需要を考慮し、返済負担が大きくならないよう適切な規模で企業債を活用するとともに、現有する内部留保資金の活用により、企業債の充当率を可能な限り低く抑え、削減を図る必要がある。